みなさーん、こんにちは。鉄道大好き、旅が大好き、issy(@y_issy24)です!(←元ネタわかる人いるかな?)
今回、私は宮崎の日南線を走る特急「海幸山幸」に乗車してきました。海幸山幸は、デザイン性のあるJR九州の特急シリーズのうちの一つで、宮崎駅と、日南市にある南郷の間を1時間半ほどで結んでいます。
普通の特急と違い、車両の中も楽しめますし、景色もすばらしい路線です。そんな海幸山幸の概要と、実際に乗ったレビュー、そして途中駅、飫肥の小観光も併せて紹介しちゃいたいと思います。この記事を読めば、きっと乗りたくなるはず…。
目次
特急「海幸山幸」とは
特急「海幸山幸」は、日南線の宮崎と南郷の間を、週末を中心に1日1~2往復している特急列車です。
JR九州の観光列車「D&S(デザイン&ストーリー)列車」のうちの一つで、宮崎の伝説でもある海幸彦と山幸彦をテーマにした列車です。
海幸山幸は特急列車なので、乗車券のほかに特急券が必要なほか、大半の座席が指定席なので、指定席特急券が必要です。
使用車両
海幸山幸に使用されている特注列車がこちらになります。もともと、高千穂鉄道のトロッコ列車だったものを改造して作成した列車のため、木目調なことと、窓が広いのが特徴です。
非電化区間を走るためディーゼル車両となり、基本は2両編成での運行です。
車両の中は後で詳しく紹介しますが、海幸車両と山幸車両の2両それぞれコンセプトが異なります。座席は通常の特急よりも広く、グリーン車のように2-1列の3列設定となっています。また、誰でも利用できるソファシートが2両ともに設置されています。(写真はJR九州のHPより)。
1時間半ほどの特急ですが、トイレがちゃんとついていたり、JR九州のWi-Fiサービスもついています。
運行日
「海幸山幸」は、週末やゴールデンウイークなどを中心として運行します。一部のD&S列車は毎日運行のものもありますが、海幸山幸は原則として平日は運行していないので注意が必要です。
また、一定期間、点検等のため土日の運行もなくなるときがあります。直近ですと、2021年3月14日から4月27日までの1か月半ほど、春の観光シーズンでありながら運行がありませんでした。この辺の運行情報は、JR九州のホームページで確認するといいでしょう。
運行ダイヤ
特急海幸山幸の運行ダイヤは以下のとおりです。
【宮崎⇒南郷】
便名 | 宮崎発 | 青島着 | 飫肥着 | 南郷着 |
---|---|---|---|---|
海幸山幸1号 | 10:13 | 10:36 | 11:22 | 11:45 |
海幸山幸3号(繁忙期のみ) | 13:53 | 14:23 | 15:00 | 15:23 |
【南郷⇒宮崎】
便名 | 南郷発 | 飫肥発 | 青島発 | 宮崎着 |
---|---|---|---|---|
海幸山幸2号(繁忙期のみ) | 11:52 | 12:21 | 12:59 | 13:27 |
海幸山幸4号 | 15:30 | 15:53 | 16:29 | 16:53 |
宮崎と南郷の所要時間は片道約1時間半で、途中は空港や鹿児島方面との乗り換えになる南宮崎、青島海岸、神宮で有名な青島、江戸時代の城下町の風情が残る飫肥、日南などに停車します。
繁忙期を除いて、11:45に海幸山幸が南郷に到着した後、車両は4時間ほど南郷に留め置かれ、15:30に宮崎に向けて出発するというスケジュールです。
朝、海幸山幸に乗るには、東京からだと7時台の飛行機に乗る必要がありますし、大阪でも伊丹発8時すぎの便に乗る必要があります。ちょっとハードですので、前日の宮崎入りが必要ではないでしょうか…。
実際に乗ってきた!
2021年3月、旅番組などをみていてずっと乗りたかった「海幸山幸」にようやく乗車してきましたので、そのときの様子を紹介させていただきます。
私は前日に宮崎入りしておりました。宮崎駅周辺にはビジネスホテルばかりなので、朝食がおいしいホテルとして有名なホテルである、ホテルJALシティ宮崎に滞在し、朝のんびりとご飯を食べてから向かいました。
旅の出発地は宮崎駅
海幸山幸の出発時間は10:11だったので、宮崎駅には9:50頃に到着しました。宮崎駅はちょこちょこと利用していますが、県庁所在地の駅にしてはあまり人が多くなく、広々とした駅になっています。
改札を入ってホームに向かいます。10:13発の「海幸山幸」は2番線からの発車ですので、改札を抜け、さっそく海幸山幸が待っている2番線に向かいます。
ホームに上がってきたのは出発15分前の9:55くらいだったと思うのですが、すでに海幸山幸はホームに入線していました。この前日に乗った指宿のたまて箱は1日3往復を1編成でこなすので、忙しそうに往復していましたがこちらは1日1往復ということで入線も早めです。
海幸山幸の正面は南国らしく白いペイントと天然木のデザインが特徴的です。とても人気者で、多くのひとたちがカメラを向けていました。
高千穂鉄道のトロッコ列車を改造してつくったため、大きな窓が特徴です。サイドのデザインは飫肥杉を使用した木目調になっています。列車のデザインを手がけたのは、JR九州ではおなじみの水戸岡鋭治さんです。
車内を紹介
続いて海幸山幸の車内を紹介したいと思います。
人が多かったので車両の後ろから撮影しましたが、車内はこんな感じの木目調テイストになっています。2列シートがある方が海側に面するA列、B列となり、山側に面する1列シートがC列となっています。
1号車が山幸車両、2号車が海幸車両となっています。シートの色(1号車は赤、2号車は青)が異なるので雰囲気は異なりますが、車内設備がそう違うところはありません。
車内は木目を中心としたレトロなトーンに仕上がっているのがわかると思います。普段乗っている通勤列車とも、旅行や出張で使う特急や新幹線とも全く違う、JR九州のD&S列車の世界にこれから入っていきます。
1号車と2号車の間にはこのような暖簾があります。これは1号車の山幸車両なので、山幸とかかれています。この手のデザインのセンスのよさもD&S列車ならではかもしれません。
こちらが、私が予約した1号車の海側座席です。横3列シートなので1席1席に広さの余裕があり、椅子もフカフカのためとても快適です。ウッド調の木のぬくもりも感じます。
また最初に紹介したとおり、トロッコを改造した列車なので窓もとても大きく、日南線の車窓を楽しむことができそうです。
シートにはリクライニング機能ももちろんついていますので、座席を倒し、ゆっくりと楽な体勢で車窓を楽しむことができそうです。
ちなみに2号車の海幸車両は青いシートになっています。なお、2号車の後方のみ3自由席となっています。
海幸山幸は1号車全席および2号車の大半が指定席ですが、2号車の一部(9席)及び各車掌の前方(南郷より)にはソファーシートがあり、ここは自由席特急券のみで乗車でき、早いもの勝ちの席になります。
1号車にはサービスカウンターがあり、こちらで車内販売を購入することも可能です(アテンダントさんが回ってきてくれますが、お忙しい時などはこちらに直接買いに来た方が早いです)
カウンターには実施に飫肥杉で作ったおもちゃなども展示されています。海幸山幸の模型も精巧にできています。木のおもちゃのようなリゾート列車になっています。かわいらしい車両ですね。
旅の思い出にもなる、乗車記念スタンプと台紙も車両の後ろに置いてあります。海幸山幸の顔の部分がスタンプになっていますね。
なお、列車はかなり揺れますので、スタンプを押すのは駅停車中をおススメします。
車窓を紹介
定刻に宮崎駅を出発すると、すぐ大淀川を渡っていきます。駅を出ていきなり景色を楽しむことができます。
宮崎駅をでるとしばらくは平地を走っていきます。途中、約25分すると青島神宮などで有名な青島駅を出発します。出発してしばらくすると、ここでようやく日南海岸がみえてきます。
ここの海岸線は通称「鬼の洗濯板」といわれ、青島から南8キロにわたって、波状岩が続いています。
中新世後期に海中で出来た水成岩が隆起し、長い間に波に洗われ、固い砂岩層だけが板のように積み重なって、巨大な洗濯板のように見えることからこのように呼ばれるようになりました。壮大なスケールですよね。
列車はゆっくりとこのエリアを走ってくれるので、写真も撮りやすいですよ。
ここまでは比較的沿岸を走ってきた海幸山幸ですが、途中で一気に進路を変更し、谷之城トンネルという直線の長いトンネルを抜けると内陸に入ります。
こちらは内陸に入った最初の停車駅である北郷駅周辺の写真です。内陸エリアは内陸エリアで、青い空と山と緑、そして川の流れと美しい景色を楽しむことができます。
車内販売も充実
なかなか最近はコンビニの充実と経費削減の中で鉄道の車内販売がどんどん減っていて悲しいのですが、海幸山幸では、車内で飲食物や記念品の販売を行っています。
私が車内で購入したのは、太陽のラガーという地ビール(710円)です。朝の10時台から、雄大な鬼の洗濯板をふかふかの座席でくつろぎながら飲むビールは最高ですね!
このビール、国内地ビールの2大コンテストでW金賞を受賞したラガービールなんだそうです。水にもこだわっていて、ビール酵母の栄養となるミネラルを豊富に含んだ水を使用を使っているようです。とてもすっきりとしているビールでした!
あとはお土産として、宮崎マンゴー地サイダー(270円)を購入して帰りました。
やはり宮崎といえばマンゴーでしょう。マンゴーの甘さがあるのですが、そこに炭酸が加わるとすっきりとした味わいに仕上がるんですね。お酒を飲めない人には、こちらのサイダーを車内で飲むのもおススメです。
JR九州の車内販売では、現金は交通系ICのほか、QRコード決済にも対応していますので、非常に便利です。
車内で紙芝居も実施
海幸山幸といえば、車内でアテンダントさんが紙芝居をやる列車としても有名です。これは子供連れにはうれしいイベントです。北郷駅と飫肥駅の間で実施されます。
語られるのは、宮崎の神話でもある列車の名前の由来である、海幸彦と山幸彦の物語です。海で料をうする兄の海幸彦と山で狩りをする弟の山幸彦でもめもごとが起こるのですが、海の神様とその娘の力を借りて仲直りするという話です。
飫肥ショート観光を紹介
宮崎から約1時間で、途中駅の飫肥に到着します。終点の南郷まで海幸山幸に乗ってもいいのですが、南郷に行っても徒歩で観光できる場所が少なく、また折り返しの列車もすぐには来ないことから、私は飫肥で途中下車して観光しました。
飫肥は城下町として、そこまで有名ではないのですが、こじんまりとした感じで非常によかったです。帰りの海幸山幸までは4時間以上あるので、のんびり観光してもいいですし、少し前の普通列車で宮崎に戻ってもいいと思います。
飫肥発 | 宮崎着 | 備考 | |
---|---|---|---|
普通列車 | 13:35 | 15:02 | 南宮崎乗り換え |
普通列車 | 15:01 | 16:21 | 南宮崎乗り換え |
特急海幸山幸4号 | 15:53 | 16:53 |
普通列車は1~2時間に1本程度と少ないので、時刻表をみて帰りの列車時間をちゃんと決めてから観光するといいと思います。飫肥は小さい町ですし、この後紹介する城下町巡りと食事であれば、2時間程度で楽しむことができるでしょう。
城下町散策を楽しもう
飫肥といえば城下町。今も多くの風情ある石垣や武家屋敷が残り、九州の小京都とも呼ばれています。飫肥城は280年にわたり飫肥藩の中心として栄えました。天守閣があるようなお城ではありませんが、大手門などが復元されています。
こちらは飫肥城の中にある松尾の丸という建物。飫肥城内で唯一、過去の建物を復元させたものです。もちろん使われているのは飫肥杉です。
中には展示品のほかお殿様の間が開放されているので、お殿様ごっこをして写真を撮ることも可能です(私はやりましたww)
また、そのあとはお城のすぐ外にある小村記念館によりました。こちらでは、明治の外交官、小村寿太郎の生涯について学ぶことができます。
彼に限らずですが、明治の外交官って国の存亡をかけた交渉を行っていたわけで、ポーツマス条約で賠償金とれずに国民にフルボッコされた後もイギリスで活躍し、その中で関税自主権の回復だとか、そういったことを成し遂げた実績はすごいものですよね。下手すりゃ欧米に国ごと食われるかどうかという内、日本が独立国として歩むことができたのは、彼の功績も大きいと思います。
ランチは名店「伊東屋」で食べよう
続いて、飫肥でのランチを紹介しておこうと思います。
飫肥駅の周辺には食事処はほとんどないため、食事は城下町近辺でとることをお勧めします。今回私が訪れたのは「武家屋敷 伊東屋」というお店です。こちらの建物は飫肥藩主の分家筋の由緒正しいお屋敷を改造したものです。
ここは飫肥でも有名なお店らしいですね。コロナ禍でありながら、ランチ時間帯は満席となっていました。
今回私は生マグロ丼まぶし(1,620円)をいただきました。食べ方は、最初は生のまぐろを日南の甘い醤油でいただき、次に秘伝のたれを使ってオリジナルの生まぐろ丼で食べ、最後に出汁をかけてお茶漬け風に食べるのだそうです。
飫肥のすぐ近くに日南油津港という港があり、そこで陸揚げされたまぐろを使っています。やはりまぐろおいしいです。それぞれ違った味わい方で楽しむことができます。
私は訪れていませんが、スイーツの時間には「雲隠れぜんざい」がおススメなんだそうです(680円。ドリンクセット980円)。お湯をかけるとわたがしの下に隠れた饅頭が顔を出します。雲が晴れ、福(餅)が顔を出す縁起のいいおしるこです。
- 店舗名:武家屋敷 伊東邸
- 住所:宮崎県日南市飫肥8丁目6-10
- 営業時間:11:00~17:00
- 休業日:火曜日
- 決済:クレジットカード、主要QRコード対応
特急海幸山幸に乗る方法
ここまで、海幸山幸の乗車レポと飫肥のショートトリップについて紹介してきました。いかがでしたでしょうか。機会があったら乗ってみたいと思えたでしょうか?(思っていただけれたらうれしいです)
そこで、今回紹介した特急海幸山幸に乗車する方法を最後に紹介したいと思います。
大半が指定席だが自由席もある
海幸山幸は、1号車の全席と2号車の大半指定席となっています。そして、自由席はわずか9席(+ソファシート)しかありません。
そのため、行く日が決まったら早めに座席の予約をした方がいいでしょう。当日でも空席はあったりしますが(私が乗車した日もありましたが)、景色のよい海側窓側席などは、発売数日で埋まってしまいます。
また、自由席は私が訪れた日は争奪戦になっていませんでしたが、場合よっては争奪戦になりかねませんので、指定席を取れなかった場合、余裕をもって宮崎駅に向かうのがよいと思います。
指定席販売は1ヶ月前から
JRの特急券の販売は、乗車の1か月前の10時からになります。海幸山幸も人気の列車ですので、1か月以上前から乗る日を決めているのであれば、10時すぐに発券することをお勧めします。
私が乗車したのも3月の土曜ということもあって、発売当日の11時には、窓側A列の席は、窓が小さい席を除いて完売していました。
購入は、全国のJRの「みどりの窓口」のほか、全国の指定席券売機でも購入可能です。これはどのJRの指定席券売機でも対応しています。東京でもこのような「指定席券売機」購入可能です。
インターネットですと、JR九州のホームページから予約することが可能です。
ただ、JR東日本の「えきねっと」等、他社のホームページからは購入ができません。
ということで、ネットで購入したい場合は、JR九州の会員になって購入しないといけません。これはちょっとめんどくさいですよね。
JR九州のeきっぷがお得
というわけで、ぶっちゃけ東京の人間であれば「えきねっと」には登録している人は多いものの「JR九州ネット予約」にアカウントを持っている人は少ないと思うので、駅の指定席券売機で予約した方が早いです。
ですが、もしJR九州のクレジットカードであるJQカードを持っている場合、インターネット限定の「eきっぷ」というのがあって、これを利用するとよりオトクに購入することが可能です。
通常のきっぷ | eきっぷ | |
---|---|---|
宮崎ー飫肥 | 2,000円 | 1,790円 |
宮崎ー南郷 | 2,360円 | 2,150円 |
通常、宮崎と南郷の間は、特急指定席の場合2,360円となっています。これが、eきっぷだと2,150円となり、210円(約10%)オトクに購入することが可能です。
九州以外の方でもオトクにポイントを貯めたり使ったりしている人で、マイルのためにJQエポスカードを保有している人や、プリンスポイントを貯めるためにJQセゾンカードを保有している人であれば、このeきっぷを利用できます。
海幸山幸のオススメ席はどこ?
今回私が座った1号車の3Aは、海側の座席で窓も大きく邪魔がなかったのでオススメです。できればこういった、景色が楽しめて快適な座席をとってみたいですよね。
海幸山幸は海側に2列シートが配置されているため、一人旅であっても一人掛けのC列を予約せず、A列の予約をおススメします。やっぱり青島海岸、鬼の洗濯岩をみるのであれば、A列に座って優雅にみたいものです。
また、車両前方で紙芝居が行われることから、なるべく番号は若い番号(ソファーシートより)の席を予約するといいと思います。自席から紙芝居みれますから。
あとは山幸デザインの赤のシートがよければ1号車、海幸デザインの青いテイストが好きなら2号車という感じで車両は決めればいいと思います。ただ、2号車には自由席があるので、混んでいるときであれば、比較的静かな1号車のほうがいいかもな、なんて思ったりします。
まとめ
JR九州のD&S列車である「海幸山幸」に乗車し、飫肥のプチ観光を楽しんできました。
列車自体もちょっと揺れは多かったものの快適でしたし、途中で飲んだビールはおいしかったし、景色も天気に恵まれたのでよかったので、とても楽しい1時間でした。あっという間でしたね。
また、飫肥の城下町はタイムスリップした気分になれますし、お殿様気分も味わえましたし、伊藤邸で郷土料理を楽しむこともできました。やはり2時間は弾丸でしたが、それでも飫肥のポイントは抑えられたかなと思っています。
この前日、指宿のたまて箱にも乗車しましたが、列車そのもものを楽しむというコンセプトの列車はいいですね。JR九州にはこのような楽しい列車が他にもたくさんあるので、色々乗ってみたいですね(次は「A列車で行こう」ですかね)。