九州・沖縄の翼ともいわれるソラシドエアは、陸でマイルが非常に貯めやすいほか、航空券のセールも多いし、機内でおいしいあごだしゆずスープが提供されたりするので、私も好きな航空会社の一つです。
そのソラシドエアの羽田から九州に向かう便で、「JR九州フリーきっぷ」を販売することになりました。九州の様々なエリアにしぼった切符や前線がフリーエリアになった切符が機内で購入可能です。
実際にどのくらいお得で、どのくらい利用価値があるのか、他の切符との比較や使い勝手について、少し深堀りしてみました。
目次
ソラシドエア「JR九州フリーきっぷ」の概要
ソラシドエアが7月から「JR九州フリーきっぷ」という、九州内のJRが乗り放題になるきっぷを機内で販売することになりました。
- 販売期間:2024年7月1日(月)~
- 販売路線:ソラシドエア 東京(羽田)発 → 宮崎/熊本/長崎/鹿児島/大分着(下り便のみ)
- 販売方法・利用方法:機内限定で販売。購入日を含めて3日以内に「JR九州みどりの窓口」で利用開始日を申し出て、フリーきっぷと引換。
販売は東京から九州各地に向かう便のみでの販売となり、九州から東京に向かう便で、次回の九州旅行用として購入することはできません。
名古屋(中部)から九州に向かう便でも販売されません。あぁ名古屋の冷遇よ…
特に期間限定ではなく、7月1日以降発売されることになっています。実はスターフライヤーも同様の切符を以前kら発売しており、最初は期間限定としていましたがずっと継続しているので、こちらも当面販売されるものと思って大丈夫そうです。
入手方法ですが、機内で引換券を購入(クレジット可能。ソラシドエアカードで割引あり!)し、それを3日以内にJR主要駅の窓口できっぷに交換する形で利用することが可能となります。
今回販売されるのは、JR九州の全線が乗り放題になる「全九州フリーきっぷ」のほか、「鹿児島・宮崎フリーきっぷ」、「由布院・別府フリーきっぷ」、「西九州フリーきっぷ」、「中九州フリーきっぷ」の5種類になります。
以下、それぞれの切符の値段や特徴をみていきたいと思います。
全九州きっぷ
まずは全九州きっぷです。名前のとおりJR九州の全路線が乗り放題になるという夢のような切符です。九州新幹線・西九州新幹線も乗り降り自由です。指定席も6回利用できますので、JR九州の様々な観光特急も楽しむことができます。
料金はこちらになります。
販売券種 | 座席 | 有効期間 | おとな | おとな Solaseed Airカード価格 |
---|---|---|---|---|
全九州フリーきっぷ | 指定席 6回まで乗車可 |
3日間 | 33,400円 | 30,060円 |
4日間 | 34,600円 | 31,140円 | ||
5日間 | 35,800円 | 32,220円 |
さすがに高すぎて3日では実用性が…
便利な切符なのですが、3日間でも3万円を超えるきっぷなので非常に割高と言わざるを得ません。一応、3日間でも乗り倒せば十分に元は取れるかなと思いますが、あまり現実的ではないかなと思います。
HPに掲載のある3日間のモデルがこちらになります。
- 1日目:鹿児島中央⇒指宿(指宿のたまて箱)
- 2日目:指宿⇒鹿児島中央⇒熊本(指宿のたまて箱・九州新幹線)
- 3日目:熊本⇒大分⇒由布院(あそぼーい)
これ計算したのですが、正規料金でも2万円にもならないので、まったく元が取れていないんですよね。3日間の一般的な観光ルートであれば、正直普通にきっぷを購入したほうが割安になってきてしまいます。
いちいち切符を購入しなくていいというメリットはありますが、それでも指定席の発券だったりはしないといけないので、だったら旅行前にネットできっぷを予約してしまったほうがいいんじゃない?と思ってしまいます。
ただ、3日用と5日用で値段がほとんど変わりません。5日間かけてじっくり九州を回っていくということになれば、1日あたりの単価も7,000円台となるため、比較的お得な切符と考えることができるかなと思います。
詳細は計算していませんが、九州をあまねく1週すれば、割引切符を勘案してもほぼ元は取れるくらいの計算になるかなと思います。
なお、指定席6回の制限があるため、この指定席は観光特急に取っておきましょう。
宮崎・鹿児島きっぷ
続いては鹿児島・宮崎フリーきっぷです。こちらはその名のとおり宮崎県・鹿児島県がフリーエリアとなる切符です。両都市を結ぶ日豊本線と、観光特急が走る日南線、指宿枕崎線などが対象となっています。
料金はこちらになります。
販売券種 | 座席 | 有効期間 | おとな | おとな Solaseed Airカード価格 |
---|---|---|---|---|
鹿児島・宮崎 フリーきっぷ |
指定席 | 2日間 | 6,200円 | 5,580円 |
3日間 | 7,300円 | 6,570円 |
2つの観光特急を楽しめるので購入の価値あり!
このきっぷは、今回ソラシドエアから出た5つの切符のうち、一番使い勝手がいい切符かなと思います。
JR九州は観光特急に力を入れており、D&S列車の旅ということで、列車に乗ることそのものを楽しめる列車が多く運行されています。その中でも指宿枕崎線を走る「指宿のたまて箱」と日南線を走る「海幸山幸」は、車内でのイベントや飲食、そして景色を存分に楽しめる列車となっています。
また、列車の目的地である指宿や飫肥は、小さな町に観光スポットが集まっており、2~3時間で十分楽しむことが可能です。指宿であれば砂蒸し風呂+食事、飫肥であれば街歩き+食事でいい感じの時間を過ごすことが可能です。
鹿児島中央と宮崎の間の片道料金と、これら特急で往復する料金を計算すると1万円を超えますので、十分に元を取ることができます。なので、これら2つの列車の旅を組み入れるのがよいでしょう。宮崎スタートでも、鹿児島スタートでも、まず片方の観光列車に乗り現地のプチ観光を楽しみもう片方の都市へ移動。都市の観光も楽しみつつ2つ目の観光列車に乗車、という感じになるかなと思います。
逆に言えばそれ以外での使い道はあまりなさそうですね(宮崎と鹿児島中央の間は、割引きっぷで3,000円もしないので)
由布院・別府フリーきっぷ
由布院・別府フリーきっぷは、博多と小倉、別府、大分、由布院などがフリーエリアに含まれます。基本的に大分空港に到着して使うかと思いますが、特急「ゆふいんの森」などで久留米から、「ソニック」を利用して、小倉経由で博多方面に向かうことも可能です。
価格は2日間用が8,300円(Solaseed Airカード価格7,470円)、3日間用が9,500円(Solaseed Airカード価格8,550円)となっています。
正直大分発だと使いにくい切符
基本、羽田→大分の機内で購入するかなと思うのですが、大分について福岡にいって、また大分に戻ってくる行程ってあまり組まないですよね。福岡に抜けたら福岡や北九州からANAやスターフライヤーで東京に帰ると思うのですよ。大分ってただでさえ空港が遠いので。
もちろん、福岡方面の片道は1か所の途中下車程度では元が取れないので、大分スタートでは、あまりこのきっぷの出番はないかなと思います。
この切符、スターフライヤーでも発売しており、北九州や小倉から使うならまだ意味はあるんですが(それでも使いにくい…!)
また、特急「ソニック」は、JR九州のネット限定切符「九州ネット早特3」を利用すると、特急指定席利用で博多=別府は2,550円、小倉=別府は2,500円となります。つまり、5,000円程度で往復できてしまうのです。なんなら、片道4,000円でグリーン車が利用できます。
「九州ネット早得3」は3日前までかつ席数限定の切符ですが、それでも飛行機での旅程が決まるころに予約すれば、繁忙期でなければ予約はできると思います。こちらを使った方が圧倒的にお得です。
また片道を「ゆふいんの森」移動に変えても、ゆふいんの森で由布院・博多間は九州ネットきっぷで5,160円のため、合計で7,660円ですからフリーきっぷよりも高い(カード割引かければ2日用ならギリギリ安い)という感じです。
「ゆふいんの森」は全席指定の意味
ゆふいんの森を片道以上使い、大分に戻ってくるのであれば由布院・別府フリーきっぷの使用価値はあるかもしれません。由布院・別府フリーは指定席の発券も可能です。
ただ、ゆふいんの森は全席指定のため、当日まで購入を遅らせると満席だったり旅行者で席が離れるというリスクもあります。
せっかくゆふいんの森乗るなら、仲間と隣で座りたいですよね…。だからゆふいんの森に乗るなら、旅行前からしっかり予約しておくべきなんです。それもあって、この切符の出番はますますないなぁと。
中九州フリーきっぷ
続いては中九州フリーきっぷです。こちらは九州中部を東西に横断する久大本線と豊肥本線を中心とした切符になります。熊本のほか阿蘇や由布院、別府などの九州中部の観光地を網羅する切符になります。
料金はこちらになります。
販売券種 | 座席 | 有効期間 | おとな | おとな Solaseed Airカード価格 |
---|---|---|---|---|
中九州フリーきっぷ | 指定席 九州新幹線1回乗車可 (みずほは除く) |
2日間 | 10,800円 | 9,720円 |
3日間 | 12,000円 | 10,800円 |
3日かけてうまく周遊できれば利用価値あり
こちらについても、単純に熊本と大分を突き抜ける使い方だと元が取れません。一方、由布院・別府きっぷに比べて熊本・阿蘇といった観光地も対象となるため、うまく周遊すれば使い方もあるかなと思います。熊本発であれば、1周して最後に熊本城を観光するようなイメージでしょうか。
基本は豊肥本線の特急(九州横断特急・あそぼーい)と、久大本線の特急ゆふいんの森を組み合わせた旅行になるかなと思います。だいたい両特急を利用して1万円くらいですので、途中下車で観光などをすれば元はとれていくかなと思います。
また、九州新幹線が1回利用できますので、これをうまく使うのもポイントでしょう。2回使えれば、久留米=熊本と熊本=博多で利用できるのですが1回なので、頭を使う必要がありそうです。
考えられるプランは、
- 初日に熊本到着後、すぐに阿蘇に行き観光した後、夕方に大分・別府に移動して宿泊
- 翌日は別府地獄巡りか由布院を観光し、ゆふいんの森で博多へ
- 3日目は博多から熊本に新幹線で移動し、熊本城等を観光してから空港へ
といった感じでしょうか。
これなら観光も十分に楽しみつつ、鉄道もあそぼーいやゆふいんの森、九州新幹線にも乗車できるので電車も頼みながら、十分に元は取れますね。
西九州フリーきっぷ
西九州フリーきっぷは、佐賀県・長崎県エリアに加え、佐賀から博多までの在来線乗り放題となります。フリーエリア内では、普通列車のほか、特急指定席を利用することが可能です。
西九州フリーきっぷのエリアには2022年9月に開通したばっかりの西九州新幹線も含まれており利用できますが、2回しか利用できないものと回数制限のない2種類の切符があります。
料金は以下のとおりです。
販売券種 | 座席 | 有効期間 | おとな | おとな Solaseed Airカード価格 |
---|---|---|---|---|
西九州フリーきっぷ | 指定席 西九州新幹線2回乗車可 |
2日間 | 9,700円 | 8,730円 |
3日間 | 10,500円 | 9,450円 | ||
指定席 西九州新幹線乗車回数制限なし |
2日間 | 11,000円 | 9,900円 | |
3日間 | 12,000円 | 10,800円 |
こちらも使い道が難しい…
このきっぷを使うのはほぼ長崎空港に到着した場合だと思うのですが、長崎・佐賀って鉄道で観光しにくいんですよね。また、中のエリアもそこまで広いわけではなく、観光列車が多いわけでもないため、値段の割に使い道がないですね…。もちろん、嬉野温泉などの観光地もあるのですが。
エリアで乗り倒して最後博多に出るといっても、長崎と佐世保の間は快速なので特急料金が不要だったりするし、新幹線で途中下車する観光地って嬉野温泉くらいしかないので、乗り倒しを目的としないと元は取れなさそうです。
なので元を取るには福岡=長崎の往復が必要そうですが、長崎に降り立って、福岡観光してまた長崎(佐世保)に戻るってあんまり現実的な行程ではないんじゃないかなと思います。
まとめ
ソラシドエアが発売する5つの九州フリーきっぷについて紹介してみました。
圧倒的に使えそうなのが鹿児島・宮崎フリーきっぷで、使いみちも「海幸山幸」と「指宿のたまて箱」に乗るという形で旅行を組み立てれば、元を取るのも難しくないですし、旅行プランも練りやすいでしょう。
全九州フリーきっぷはちょっと高いですが、3日用でも5日用でも値段が対して変わらないので、5日間のんびり回る場合なら使えるかなという感じでしょうか。中九州フリーきっぷも、うまくエリア内を周遊すればお得に中九州を旅行できるかなと思います。
西九州フリーきっぷと由布院・別府フリーきっぷは、ソラシドエアの場合ちょっと使い方が難しいかなと思います。大分や長崎から博多方面にでかけてまた戻ってくるという行程はなかなか組まないと思うので…。