見どころは多いけど、車がないとなかなか観光で回るのが難しい阿寒湖や摩周湖などの道東方面を効率的に回ってくれるバス「ピリカ号」という観光バスがあります。
観光バスというと、ツアーのようなイメージがあって、みんなで行動…のようなものに見えるかもしれませんが、ピリカ号はバスの中ではガイドをしてくれるものの、目的地では基本的に自由行動となっており、一人旅でも参加しやすい形になっています。
道東は鉄道やバスの本数も少なく観光地も点在していますから、免許をもっていなかったり、私のようなペーパードライバーにとって、効率的に充実した道東観光をするにはぜひ利用したいバスです。
そこで、今日は道東観光に便利な「ピリカ号」の紹介と、実際に私が利用してきたときの旅行記を紹介したいと思います。
ピリカ号とは
ピリカ号とは、阿寒バスが運行する定期観光バスです。
「定期観光バス」というと、ツアーのようなイメージがあるかもしれませんが、ピリカ号はバスの中ではガイドをしてくれるものの、目的地では自由行動となっています。
ピリカ号は釧路市内を起点として、阿寒摩周国立公園にある道東三湖 (摩周湖・屈斜路湖・阿寒湖)を1日でぐるっと巡るコースになっています。
これらのエリアは公共交通機関ではアクセスのしにくさから、車がないとなかなか観光にいけないのですが、このピリカ号を利用すれば、効率的にぐるっと道東三湖をまわることが可能です。
ピリカ号の運行期間
ピリカ号は、基本的に通年で1日1便運行しています。なお、冬季は冬季通行止めの道路などもあるため通常のピリカ号から少しコース内容が変わり、たんちょう観光が組み込まれた「ホワイトピリカ号」として運行されています。
朝8時に釧路を出発してから1日観光にまわり、夕方5時ころに釧路市内に戻ってきます。
ピリカ号のルートと出発地
ピリカ号の運行ルートは以下のとおりです。
釧路駅前(8:00発) ~ MOO(乗車可8:05発) ~ 釧路プリンスホテル(乗車可8:08発) ~ 釧路湿原北斗展望台 ~ 摩周湖 ~ 硫黄山 ~ 屈斜路湖砂湯 ~ 阿寒湖温泉(下車可13:05頃) ~ 釧路空港(下車可16:10着) ~ 釧路駅前、MOO、釧路プリンスホテル(16:55頃着)
出発地点は、釧路駅前のほか、釧路川沿いにあるMOO(釧路フィッシャーマンズワーフ)やプリンスホテルからも乗車することができます。
私は最初何も考えずに釧路駅前から乗車するという形で予約しましたが、釧路のホテルは釧路駅から1キロ近く離れた釧路川付近にあることも多く、そのエリアのホテルに滞在される方であれば、MOOから乗車した方が便利になります。
観光としては、以下の5か所をめぐります。
景勝地 | 観光時間 |
---|---|
釧路湿原北斗展望台 | 車窓見学 |
摩周湖第1展望台 | 30分 |
硫黄山 | 30分 |
屈斜路湖(砂湯) | 20分 |
阿寒湖温泉 | 120分 |
釧路湿原を車窓見学した後、日本で一番、世界でもバイカル湖の次に深い湖である摩周湖の展望台に向かいます。摩周湖では晴れていれば、湖面が鮮やかな青、通称「摩周ブルー」とみることができます。
その後に、硫黄山へ。山肌からはゴウゴウと音を立てながら噴煙がほとばしり、周囲には独特の硫黄の匂いが立ち込めています。
続いて日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖にいきます。水が美しいことで有名で、夏はきれいな景色が楽しめるとともに、冬は、全面結氷するそうです。
13時すぎに阿寒湖に到着します。ここでは食事の時間込みで120分も観光時間がありますので、食事や湖畔観光・散策ののほか、阿寒湖温泉では無料の「エコミュージアムセンター」を見学したり、別途費用はかかりますが、日帰り入浴をすることが可能です。
ピリカ号の料金
ピリカ号の料金は以下のとおりです。
下車地 | おとな | こども |
---|---|---|
釧路駅周辺 | 4,600円 | 2,300円 |
釧路空港 | 4,300円 | 2,150円 |
阿寒湖温泉 | 3,290円 | 1,650円 |
釧路駅周辺まで戻ってくるほか、最後の観光地である阿寒湖温泉や、釧路空港で途中下車をすることも可能となっており、この場合料金が少し安くなっています。
阿寒湖で2時間の自由時間がありますが、遊覧船にのったり温泉に入りたい!となると2時間以上必要になるため、阿寒湖温泉で途中下車して、路線バスで釧路に戻る、なんて技もあります。
釧路市内まで戻ってくるオーソドックスな行程の場合、料金は4,600円と比較的お得な価格設定になっています。
ちなみに釧路駅と阿寒湖を結ぶ路線バスの運賃が片道2,750円なので、路線バスで阿寒湖往復するよりも割安になっています。
ピリカ号の予約方法
ピリカ号はインターネットや電話での事前予約制になります(釧路駅前バスターミナルにある阿寒バスの窓口での予約も可能です)
インターネットで事前に予約する場合、阿寒バスのホームページ経由か、オプショナルツアー・現地ツアー専門の旅行サイト「veltra」経由で申し込むことが可能です。
阿寒バスのホームページでも、veltraでも料金は同じですから、ポイントがたまるVELTRAで申し込みましょう!
実際にピリカ号に乗車してきたレポート
2020年9月、私も少し遅い夏休みで北海道にいき、ピリカ号に乗車してきましたので、そのときのレポートを綴っていきたいと思います。
この日の天候はどんよりとした曇り空。昨日まで晴れていたのにこの天気は残念です。
私は今回、ホテルはラビスタ釧路川にしていたので、MOO発にしました。MOOは幣舞橋(ぬさまいばし) のすぐ近くにあり、多くのホテルがこのあたりにあるため、釧路川、幣舞橋近辺のホテル(ラビスタのほか、ANAクラウンプラザやホテルパコなど)に滞在する場合はMOO発がいいでしょう。
ピリカ号は8:05にMOOに来るので、それまでホテルでのんびり朝食を食べながら待ちました。
バスに乗り込みます。中は普通の観光バスで、リクライニングもきく快適なバスです。この日の乗客は15名ほどで、ほとんどが一人旅の中高年でした。あ、私も中年のおっさんですからみなさんの(・∀・)人(・∀・)ナカーマでしたね。
ここからは若干アニメ声気味のバスガイドさんの案内で旅は進んでいきます。
日本で一番広い湿地帯である釧路湿原を車窓からみます。とはいえ、木が多くてこちら側からはあまり見えませんね。
釧路湿原の広さは、甲子園球場6873個ほどなんだそうです。東京ドーム〇個分、というたとえはよくききますが、甲子園球場で例えるのはじめて聞きました(笑)さてはガイドさん、阪神ファン??
さて、釧路湿原は車窓のみでスルーするんですが、行程上に釧路湿原展望台もあるんですね。せっかくなので、10分でも釧路湿原展望台に見学に立ち寄ってくれればいいのに…とは思いました。せっかくなのでちょっと見たかったですね。
摩周湖
「北海道の瞳」と呼ぼれる摩周湖に到着したのは9:45頃でした。すでに釧路を出発して1時間半以上たっています。なかなか市街地から離れているんですね。
摩周湖は周囲24キロあり、何よりも透明度が高い湖です。その昔、学校でも習ったようなきもしますが日本一の透明度で、透明度世界一の座はロシアのバイカル湖に譲ったがそれでも世界で2番目の透明度の湖になっています。
摩周湖第一展望台では30分ほどの滞在になっています。天気が悪かったので見えるか心配でしたが、曇ってはいるもののガスはかかっておらず、無事に摩周湖を望むことができました。「霧の摩周湖」と言われるほど霧がよくかかるため、夏場はみれる確率は20%なんだとか。
摩周ブルーというほどきれいには映っていませんが、水面もそこそこきれいにみえたのではないかな、と思います。
ちなみに摩周岳への登山も、ここ摩周湖第一展望台が起点になるようです。バスツアーなので当然いけませんが、車でくれば片道7.2キロなのでちょうどよい距離感ではないでしょうか。
硫黄山
摩周湖を離れて約30分、続いて訪れたのは硫黄山です。アイヌ語で「アトサヌプリ」、裸の山と呼ばれます。ここも30分ほど観光時間があります。
硫黄山という名前なので当たり前っちゃ当たり前なのですが、バスを降りた瞬間、硫黄の匂いがすごいです。箱根に行ったことがある人ならわかると思いますが、大涌谷みたいな感じです。山肌からも噴煙がもくもくと上がっており、迫力があります。
散策エリアで近づけるところまで歩いていくと、規制線の手前でも、このように足元で燃えていたり温泉が湧き出たりしています。ちなみにお湯は当たり前ですがメッチャ暑いのでご注意を。
規制線ギリギリまで近づいてみました。かなりダイナミックに、蒸気のみならず黄色い硫黄の結晶が目の前でみることができます。熱気を感じますね。
私は食べていませんが、レストハウスの中では温泉玉子も売っているようです。
屈斜路湖
硫黄山の次は屈斜路湖に向かいます。こにら屈斜路湖は世界で2番目に大きなカルデラ湖です。到着したのは11:25で、20分ほどの滞在時間が設定されていました。
屈斜路湖の湖畔には砂湯があって、足元の砂を掘るとお湯がでてきます。湖畔からお湯がでるのはすごいですね。ここでしかできない経験でしょう。
とはいえ、20分の滞在時間では一から砂を掘っている時間はありませんので、人様が掘った穴から温泉を触ります。
また、湖の水自体は冷たいものの、底の砂を掘れば、暖かいお湯がでてきてゆるくなります。
お土産屋さんのところには、無料で飲む温泉というのがあったので飲んでみました。お店の人いわく、甘く感じる場合は体調があまりよくないサインなんだそうです。前日お酒を飲んでる場合、甘く感じれば飲み過ぎ、しょっぱく感じれば飲み足りないんだとのこと(笑)
ちなみに私は甘くもしょっぱくも感じませんでした。決して味覚障害ではなく、そのように感じる人もいるということです。
日本一おいしいソフトクリームの看板があったので興味をもって近づいていったんですがあいにく閉まっていました。中の様子を見た感じ、たまたま定休日とかではなくてしばらくやってなさそう。
阿寒湖
屈斜路湖から阿寒湖までは国道241号線を抜けて1時間ほどで到着しました。もう完全に雨がふっています。
阿寒湖へ向かう途中の車窓では、雄阿寒岳も天気がよければ見えるらしいのですが、遠くにかすんで見える程度でした。
阿寒湖温泉に到着したのが12:55で、出発が14:55ということでしたので、自由時間は120分になります。この120分で散策のほか、遅めの昼食などを楽しめます。
まずは食事へ。バスの中で渡された阿寒湖温泉の案内から選んだのですが、さすがに名物の鹿料理を食べるほどおなかが元気ではありませんでした。前日、釧路市内でザンギの店とつぶ貝の店をはしごとしたもので…。そこであっさり目の食事を選びます。
ほとんど不定休なので2つくらいお店を考えておくように言われましたが、一点目のそばや「百味庵」でかに天ざる(1,600円)をいただきました。おいしかったですよ。
天気が悪いので、屋内施設である「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」にいきました。ここでは阿寒湖周辺の豊かな自然をメインに展示している他、アイヌ文化の紹介もしています。
阿寒湖といえばまりもですが、まりもの実物もありましたし解説なんかもあって勉強になりました。
エコミュージアムセンターの裏から続いているボッケ遊歩道にでて、500メートルほど進んでいくと、阿寒湖がきれいにみれる景勝地的なところがあるとのことで、雨の中ではありますがちょっと森の中を散歩して進んでみました。
ここはおススメです。確かにここは景色がいいですし、湖畔からみるのとはまた違った景色になっていますね。きっと天気がよければもっと綺麗な景色を眺められたんだろうな…と思うと少し残念です。
ちなみに阿寒湖の水はかなり透明度が高いです。雨が降ってこれなので、実際はもっと高いんだと思います。
阿寒湖といえば温泉ともう一つ有名なのがアイヌコタン。コタンというのはアイヌ語で集落という意味です。こちらには10数店舗の飲食店とおみやげやさんがならんでいるのでちょっとみてみました。
アイヌの民芸品などが販売されています。平日ということもあり、あいているお店は半分程度。ちょっと寂しかったなというより、阿寒湖温泉そのものがかなり廃れているなぁと感じました。
ホテルも昭和の香りがする大規模ホテルがいくつかあって、ちょっと外観からしてボロボロだなぁ、と感じてしまいます。コロナというより、すでに時代に取り残されているような温泉街でした…。もちろん景勝地としてはいいのでしょうが、宿泊地として考えると、個人的にはうーんという感じでした。
最初はせっかく温泉地にきたから日帰りで温泉に入ろうと思っていました。一応バスセンターのところにも入浴施設はあるらしいですが汚いらしいので、ホテルの温泉を借りるつもりでした。こちらがシャングリラというホテルですが、中はきれいにはなっていますが、外観がザ・昭和の大型温泉宿って感じですよね。
2時間の阿寒湖滞在を終えると、一路釧路市内へ。帰りは釧路空港に寄りたい人がいれば寄ってくれるのですが、この日は寄る人がいないため、直接市内へ戻ります。市内までの所要時間は1時間半ほどで、MOOに戻ってきたのは16:30頃でした。
まとめ
阿寒摩周国立公園の観光地を効率よく回ってくれる阿寒バスの「ピリカ号」を紹介させていただきました。
景色だけが本当に残念でした…。景色さえよければもっと楽しめたんだと思います。
ただ、やはり車を運転できないような私でもこういったバスがあることによって、効率的に阿寒湖や摩周湖を一日で回ることができました。これはめちゃくちゃ便利でありがたいですね。