九州への旅行を考えている方には朗報です。
週末にJR九州の新幹線や特急が2日間乗り放題になるきっぷ「みんなの九州きっぷ」が、5月~7月にかけて再販されることになりました。
乗り放題きっぷのよいところは、複数都市の旅行がオトクになることです。九州までは飛行機でいき、島内を鉄道で回って旅行するというスタイルにも向いていると思うので、ちょっと紹介したいと思います。
目次
JR九州「みんなの九州きっぷ」がとにかくオトク
JR九州では、「みんなの九州きっぷ」という、JR九州の各線が乗り放題のきっぷを2023年7月にかけての土日祝日利用で販売することになりました。
このきっぷでは、2日間、JR九州の九州新幹線、西九州新幹線や在来線の特急を含む、すべての列車の自由席に乗車することが可能です。新幹線の特急料金まで含まれているフリー切符は、今となってはかなりレアなきっぷだと思います。
JR九州内の新幹線や特急がすべて利用可能なので、このきっぷ1枚で、福岡、長崎、熊本、鹿児島などの九州主要都市に自由に行くことが可能です。
対象となるエリアは九州全体のほか、⼭陽本線(下関〜⾨司間)もフリー切符の範囲内なので、下関にも行くことが可能です。ただし、九州内でも、山陽新幹線の小倉=博多=博多南はJR利用することができないといった制約があります。
基本的に特急や新幹線は自由席利用なのですが、駅の自動券売機や窓口で発券すれば、2日間で指定席を6回まで利用することができます。
JR九州には全席指定の観光特急があったり、九州新幹線は自由席だと横5列なのが指定席だと横4列でゆったり座れたりしますので、指定席もうまく利用していきたいところです。
このように、九州をくまなく旅行する人には、この上ない非常におトクなきっぷです。
九州新幹線やゆふいんの森も乗り放題
JR九州には九州新幹線のほか、博多と湯布院を結ぶ特急「ゆふいんの森」をはじめ、「指宿のたまて箱」「あそぼーい」、「海幸山幸」など独創的な特急列車が多数あります。あと、博多と武雄温泉を結ぶ白い「リレーかもめ」や博多と大分を結ぶ「ソニック」など、ふつうの特急もいちいちかっこいいいです。
これらの特急のうちの一部は全車指定席のものもありますが、みんなの九州きっぷでは、普通車指定席が2日間で6回まで利用することが可能なので、このきっぷを使ってJR九州が誇るジョイフルトレインを楽しむことも可能なんです。
電車が好きな子供ならJR九州の特急は喜ぶこと間違いなしです。子供を連れてJR九州の特急を楽しむ週末旅行なんてのもいいかな、と思います。
対象エリアは2種類
みんなの九州きっぷには、「全九州版」と「北部九州版」の2種類の切符があります。
全九州版は、その名の通り、九州全体のエリアを対象としたきっぷになります。一方、北部九州版は大分から阿蘇を通って熊本を結ぶ豊肥本線よりも北側と、「特急A列車で行こう」が走っている、三角線がフリーエリアとなります。
北部九州版は、熊本や大分のほか、長崎もフリーエリアに入っていますので、意外と北部九州版でもエリアは広いですね。観光列車は南九州が多いのですが、観光メインの方は、北部九州版でもけっこう使えそうです。
利用可能期間
今回「みんなの九州きっぷ」ですが、7月17日(月・祝)までの、連続する土日祝となっています。平日をからめた日程は利用できません。
男性60歳以上、女性50歳以上なら入会することが可能な「ハロー!自由時間クラブ」の会員の方は、曜日にかかわらずいつでも利用できる「みんなの九州きっぷ(ハロー!会員限定用)」を販売しています。
きっぷの料金
「みんなの九州きっぷ」の料金はそれぞれ以下のとおりとなっています。
エリア | おねだん | 有効期間 | |
---|---|---|---|
大人 | こども | ||
北部九州版 | 9,500円 | 1,000円 | 土日祝日で連続する2日間 |
全九州版 | 18,000円 | 2,000円 | 土日祝日で連続する2日間 |
北部九州版は9,500円で熊本・大分以北が、全九州版は18,000円でJR九州の全路線2日間が乗り放題となっています。
2022年夏までは、北部九州版が8,000円、全九州版が15,000円でしたので、2割以上の値上げとなってしまいました…。九州新幹線分が開通した分もあるのか、値上げされてしまいましたね。それでも新幹線乗り放題ということを考えれば、十分にお得です。
さらに、子供料金は北部九州版で1,000円、全九州版で2,000円と超破格の設定なので、子供を連れた鉄道旅行には非常におススメな切符になります。鉄道好きなお子さんに、いろんな鉄道に乗せてあげたい!と思わせるきっぷです。また、大人単体では赤字でも、子供を含めた総額であれば十分元がとれる、なんて展開もあると思います。
料金が1,000円から2,000円であれば、未就学児でも子供料金払って、指定席で膝の上に乗せるのではなく、1席確保した方がいいですね。
JR九州の割引切符廃止で相対的にお得に!
全九州版の金額は18,000円がお得かどうかをみると、博多=鹿児島中央の往復が割引切符を使うとが片道10,110円となるので、これだけで元が取れる計算になります。まあ、これは九州新幹線の割引きっぷが減ってきてしまったのが原因なのですが…。
ただ、やっぱり全九州版は、博多=鹿児島中央間を新幹線で最低でも片道は移動しないと、ちょっと元がとれないような気もします。まあ子供いればすぐに元が取れますけど。
その上、単純往復ではできませんが、フリーきっぷだからこそ、途中の熊本で下車するとか、そういう使い方をすることも可能です。
購入はJR九州のサイト限定(7日前までの予約が必要)
今回の「みんなの九州きっぷ」は、「JR九州Web会員」に登録して、「JR九州インターネット列車予約」で利用日の7日前の23時までにまでに、予約・決済(支払い)を行う必要があります。
2022年までは3日間まで購入できましたが、2023年からは7日前までの購入が必要となりました。
みんなの九州きっぷはJR九州インターネット列車予約での限定発売なので、駅の窓口等では発売していないことには注意が必要です。旅行にでかける前に、Webで予約、購入するのを忘れないようにしましょう。また、前日・当日の予約もできないのでご注意ください。
「JR九州インターネット列⾞予約」で予約・購⼊したら、JR九州の自動券売機できっぷを発券する必要があります。
関東や東北、関西などの方であれば九州についてから発券することになります。
「みんなの九州きっぷ」を発券する際には以下の3つが必要です。
- 予約時に指定したクレジットカード
- 予約番号(「6」から始まる5桁の番号)
- 申込み時に指定した電話番号の下4桁
HPには上のとおり書かれているのですが、実際に窓口や自動券売機で使用するのは1のクレジットカードのみです。決済したときに使用したクレジットカードは、忘れないようにしましょう。
指定席を事前に予約できないのがデメリット…
ここまで「みんなの九州きっぷ」のメリットを紹介してきましたが、一つだけデメリットがあって、それが「指定席がネット予約できないこと」です。
「みんなの九州きっぷ」では、先ほど紹介したとおり6回まで指定席を利用することが可能なのですが、指定席券はJR九州の自動券売機または窓口でしか発券することができません。ネットで指定席を予約することができないんですよ。
九州の方であればネットできっぷを購入した後に駅に赴き、駅できっぷ本体を発券した後に併せて指定席をすぐ予約すればいいのですが、それ以外のエリアに住んでいる人であれば、事前に指定席の予約ができず、旅行当日、九州に着いてから指定することになります。
特に、観光列車の「指宿のたまて箱」や「A列車でいこう」は全席指定席のため、週末は相当座席が埋まっていることが想定され、九州に到着してから予約しようとしても満席になっている可能性があるというのは、非常に残念なことです。
混雑が予想される日は、追加の出費覚悟で別途指定席をとるなどの対策が必要です。
JR九州は楽しい鉄道がいっぱい!
JR九州は、昔から他のJRに比べて斬新的なデザインの特急列車を作っているイメージがあり、実際に、D&S(デザイン&ストーリー)列車事業ということで、デザインと物語のある列車で九州を楽しむことができます。
これらの列車の多くは特急なのですが、「みんなの九州きっぷ」では特急を含め乗り放題なので、こういったD&S列車を楽しむのにも利用できると思います。
ただ、先ほどから書いている通り、これらの列車の多くは全席指定制のため、事前にJR九州または西日本の駅の自動券売機で、座席指定を受ける必要があります。
A列車でいこう(熊本)
特急「A列車で行こう」は、熊本県の熊本駅と三角駅の間を約40分で結ぶ特急列車で、1日3往復しています。
その列車名から某ゲームを想像してしまいますし、私も最初名前を聞いたときは関係あるのかと思ったのですが、全然関係ありません(笑)A列車のAは「天草」のAであり、「アダルト」のAなんだそうです。
車内は16世紀の南蛮文化をイメージしたものとなっており、バーなどもあります。バーでは、熊本名産のデコポンを使用したハイボールなどを楽しむことができるそうです。
終着の三角駅には大きい観光スポットはありませんが、船で天草にわたることなども可能です。乗り放題きっぷなので、単純に折り返してもいいと思います。
指宿のたまて箱(鹿児島)
特急「指宿のたまて箱」は、鹿児島県の鹿児島中央駅と指宿駅の間を約1時間で結ぶ特急列車で、1日3往復しています。
もともと竜宮伝説が薩摩半島に伝わっているので、白と黒の玉手箱をイメージして塗装されています。私も最初このデザインをみたときはびっくりしました。
車内には地元の杉が使われており、落ち着いたトーンになっています。また、窓に向かって座席を配置しており、薩摩湾の美しい景色を楽しむこともできます。景色もよかったですし乗車時間が1時間程度と長すぎず、飽きがありませんでした。
また終着の指宿といえば温泉。そして砂蒸し風呂がとても有名です。駅の近くでも体験できるということなので、ただ鉄道を楽しむだけでなく、砂蒸し風呂も楽しんできたいと思います。
実際に私が2021年3月に乗車してきたときの乗車記がこちらになります。ぜひご覧ください!
海幸山幸(宮崎)
特急「海幸山幸」は、宮崎県県の宮崎駅と南郷駅の間を約1時間半で結ぶ特急列車で、1日1往復しています。
宮崎で「山」といえばあまりイメージがわかないかもしれませんん。宮崎といえば美しい海岸線が有名ですが、山も高千穂峡などの観光資源もあります。また、この海幸山幸で使用されている車両は、トロッコ列車を改造した車両なので、窓が大きいことが特徴です。
車内は海をイメージした車両と山をイメージした車両に分かれているので、行きと帰りで車両を変えてみてもいいのではないでしょうか。また、車内では、車名にも使われている南九州で伝わる古代神話「海幸彦・山幸彦伝説」を手作りの紙芝居で紹介しています。
終点の南郷は海の保養地なので、数時間の観光をするところはそんなに多くはないかもです。その手前にある飫肥は城下町ですから、こちらで散策されるのがいいと思います。2時間程度の散策に向いており、飫肥城跡や小村寿太郎記念館などがあります。
実際に私が2021年3月に乗車してきたときの乗車記がこちらになります。ぜひご覧ください!
まとめ
JR九州の週末限定フリー切符である「みんなの九州きっぷ」の販売が2023年7月まで再販されるということです。
九州新幹線を含めた特急にも乗車できて、JR九州の全線に加え、山陽本線の下関ー門司を含めて乗り放題で18,000円というのは、以前に比べてお得度は減ってしまったものの、周遊旅行で使うとなれば非常に魅力的です。
2023年も国内旅行を計画されている方も多いと思いますが、このようなお得なきっぷもあるので、たとえば1都市、1施設滞在ではなく、飛行機で九州に行くのに、到着地と出発地を別の空港にして、その間を移動するような旅行というのもいいのではないでしょうか。
なかなかこのレベルの割引きっぷはそうそうでるものではないと思います。ぜひ、有効に活用して、旅の一つのアクセントにしてみてはいかがでしょうか。