東海道新幹線は他の鉄道路線に比べて割引きっぷが少ないです。
そんな中、東海道新幹線の割引切符は21日前までの予約でのぞみを含めて安く利用できる「EX早特21ワイド」や、こだま号限定ですが安く利用できる「ぷらっとこだま」などが有名ですが、今回紹介するのは3日前までの予約でこだまのグリーン車に乗れる「EXこだまグリーン早特3」です。
このきっぷはこだま号限定で利用時間は多くかかりますが、快適なグリーン車利用な上、値段もかなり安いので、東海道の移動の選択肢になると思うので紹介できればと面ます。
目次
「EXこだまグリーン早特3」の概要
EXこだまグリーン早特3は、JR東海の「エクスプレス予約(年会費1,100円)」会員か、「スマートEX会員(年会費無料)」会員限定で購入できるきっぷです。
スマートEX会員は年会費無料でこのような東海道新幹線の割引きっぷ(ぷらっとこだまも会員登録が必要になりました)を購入することができますので、まだ会員になってない方はぜひこの機会にお申込みください。
EXこだまグリーン早特3は、乗車3日前までに購入することにより、東海道新幹線の「こだま」のグリーン車にお得に乗車することが可能なきっぷです。
東海道新幹線こだま号の運行概要
こだま号は、すべての駅に停車する新幹線です。のぞみに比べて運行本数が少なく、のぞみが1時間あたり6~10本走っているに対し、東京=名古屋間は1時間に2本、名古屋=新大阪は1時間に1本の本数で運行されています。
各駅停車であるほか、ほぼすべての駅でのぞみの通過待ちを行うため、所要時間は、東京=名古屋が約2時間40分、東京=新大阪は、約4時間になります。
EXこだまグリーン早特3は東海道新幹線限定なので、山陽新幹線のこだまには適用がありません。
東海道新幹線のグリーン席の座席はこちら。東海道新幹線の場合、普通車は自由席でも指定席でも同じで、横が5列のシートで少し圧迫感がありますが、グリーン車は横4列ですし、シートピッチも広くレッグレストもありますので、楽々です。
料金がかなり安い
割引の選択肢が少なく、頻繁に行き来するビジネスマンを除いて普通のきっぷを購入している方の割合が多そうな東海道新幹線において、割引きっぷは貴重なものです。
東京から名古屋・新大阪までのEXこだまグリーン早特3の料金は以下のとおりです。
通常購入(のぞみ指定席) | EXこだまグリーン早特3 | |
---|---|---|
東京=名古屋 | 11,310円 | 9,170円 |
東京=新大阪 | 14,720円 | 11,410円 |
東京から名古屋や新大阪に行くのに、ふつうはのぞみかひかりを利用するかと思いますが、こだまを利用することに、グリーン車でありながらかなり安い料金で移動することが可能です。
私も最初にこのきっぷを使ったときは正直感動しました(笑)
- メリット:①金額が安い(約2割引)、②横4列、座席間隔も広いグリーン車に乗れる
- デメリット:のぞみに比べて名古屋で1時間、新大阪で1時間半長い
こだまを利用すると、名古屋まではのぞみに比べて約1時間、新大阪まではのぞみに比べて約1時間半長い時間がかかりますが、名古屋まで2,000円、新大阪まで3,000円安くなる上に、グリーン車を利用することができます。
ちょっと時間が長いのが気になりますし、何よりほとんどすべての駅でのぞみやひかりに追い抜かれるので余計に長く感じてしまうかもしれませんが、車内でAmazonプライムとかYouTubeみていれば割とあっという間だと思います。急ぐ旅でない方であれば、時間と引き換えにゆったり座席な上に安く移動することが可能なので、選択肢に入ってくるかなと思います。
記事の中段では、様々な区間で他の割引きっぷとの比較も行っていますが、時間と快適度、費用を含めると総合的にコスパの高いきっぷだということがわかります。
繁忙期の設定がない
EXこだまグリーン早特3は、GW、お盆、年末年始の繁忙期には設定除外日があります。
2023年度の日付は出ていませんが、2022年度は、4/28(金)~5/7(日)、8/9(水)~20(日)、12/28(木)~1/8(月)が利用不可日に設定されています。
それでも、基本的な土日や3連休であれば設定がありますので、比較的利用しやすい切符だなと思います。
全区間に設定がある(超重要!)
EXこだまグリーン早特は、すべての駅が発着駅に設定されているため、東海道新幹線を利用する場合であれば、どの駅からどの駅までであっても利用することが可能です。これ、地味にきいてきます。
例えば私の義妹は富士山静岡空港の近くに住んでおり、新幹線の最寄り駅は掛川なのですが、東京から掛川って、EX早特21ワイドやぷらっとこだまなどの、他の割引切符が設定されていないんですね。
東京=掛川の運賃をみていくと、下記のとおりです。
通常購入(指定席) | 8,000円 |
通常購入(自由席) | 7,470円 |
EX早特1(自由席) | 6,930円 |
EXこだまグリーン早特3 | 7,680円 |
最近ようやくEX早特1という、自由席の早割が発売開始されましたが、自由席早特1の料金に+750円でグリーン車に乗ることができたりしてしまいます。
また、この区間には指定席には有効な割引がありません。座席を指定するのであれば、ふつうに指定席を購入する必要がありますが、これが8,000円です。
先程紹介したとおり、EXこだまグリーン早特3は、普通車指定席よりも安く設定されています。まあ繁忙期、通勤時間帯以外であればこだまなら着席できるので指定席との比較をするのはナンセンスですが(東海道新幹線は指定でも自由でも座席の種類が同じなので)
名古屋や大阪の場合はお得感があるものの、速さを犠牲にして安さをとるという感覚ですが、掛川はこだましか止まりませんので、速さは全く犠牲にしていません。それであれば、+750円で4列シートになるというのはよいと思います。
東京からの運賃の例をみていく
それでは、具体的に東京から各都市への料金について、他のきっぷとの比較を行っていきたいと思います。
東京=三島
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 4,600円 |
自由席通常価格 | 4,070円 |
EXこだまグリーン早特3 | 4,280円 |
EX早特1 | 3,730円 |
(2人以上のみ)EXこだまファミリー早特3 | 3,630円 |
伊豆観光の出発地にもなる三島。東京=三島(熱海もです)については、先程紹介した掛川と同様、ぶらっとこだまの設定もなく、その他の割引運賃も自由席の早特1か2名以上限定のファミリー切符以外、基本的にありません。
そのため、普通車自由席との比較になりますが、普通車自由席4,070円に対し、EXこだまグリーン早特3は4,280円ですから、自由席に+200円するだけで、グリーン車に乗ることが可能です。
ただ、同様に前日までネット購入で割引となる早特1も販売されており、この価格3,730円を基準とすると、+550円といったところになります。550円差でグリーン車といういのをどう考えるかですが、1時間もかからない距離なので、私個人としては三島程度の距離であれば、EX早特1でいいかなという気もします。
東京=静岡
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 6,410円 |
自由席通常価格 | 5,940円 |
EXこだまグリーン早特3 | 6,140円 |
EX早特1 | 5,490円 |
ぷらっとこだま | 5,400円 |
東京=静岡の場合も、先程紹介したとおり、普通車自由席の正規料金からプラス200円、回数券ばら売りやEX早特1からプラス700円ほどでグリーン車を利用することが可能です。
ただ、東京=静岡にはぷらっとこだまの設定があります。ぷらっとこだまは指定ですから、座席確保という視点でみてもこだまグリーン早特3と740円の差になります。
それでもワンドリンクつきますし、1時間20分ですからグリーン車使うほどでもないですし、自由席よりも若干ですがぷらっとこだまのほうが安いですね。
あと、東京=静岡・浜松に関しては「EXこだまファミリー早特3」の設定がありません。これもあって、東京=静岡をお得に新幹線で移動したいであれば、ぷらっとこだま一択になるのかなと思います。
東京=浜松
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 8,440円 |
自由席通常価格 | 7,910円 |
EXこだまグリーン早特3 | 8,120円 |
ぷらっとこだま | 6,970円 |
EX早特1 | 7,250円 |
浜松は静岡と違いぷらっとこだまが2024年に値下げとなりました。ぷらっとこだまとEXこだまグリーン早特3との差は1,200円強まで広がりました。
昔なら1,000円差だったので、東京=浜松は2時間以上あることを考えると疲労度が違ってくるので、EXこだまグリーン早特3がおススメだったのですが、1,200円差だと普通席とグリーン車、どっちにするか悩みますね…。
東京=名古屋
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(のぞみ) | 11,300円 |
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 11,090円 |
自由席通常価格 | 10,560円 |
EX早特21ワイド | 9,800円 |
EXこだまグリーン早特3 | 9,170円 |
ぷらっとこだま | 8,810円 |
(2人以上のみ)EXのぞみファミリー早特3 | 9,950円 |
(2人以上のみ)EXこだまファミリー早特3 | 8,050円 |
個人的には、東京=名古屋が、一番「EXこだまグリーン早特3」が輝く路線な気がしています。
所要時間が2時間45分と、のぞみよりも1時間ちょっと長くギリギリ時間的にも許容できる範囲内だと思います。3時間超えるとキツいと思うので、気軽にこだまを選択できるのは名古屋までかなと個人的には思います。
そして値段が9,170円と安価なことです。
ぷらっとこだまとの差額は360円です。360円プラスでグリーン車利用できるなら、個人的にはグリーン車を利用するかなと思います。ぷらっとらこだまのグリーン利用よりも安い設定になっています。
東京=京都
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(のぞみ) | 14,170円 |
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 13,850円 |
自由席通常価格 | 13,320円 |
EX早特21ワイド | 11,820円 |
EXこだまグリーン早特3 | 11,200円 |
ぷらっとこだま | 10,790円 |
(2人以上のみ)EXのぞみファミリー早特3 | 12,020円 |
(2人以上のみ)EXこだまファミリー早特3 | 9,980円 |
京都までいくと所要時間が3時間45分かかるので、こだま移動がしんどくなってくる時間になってくると思います。のぞみだと広島まで行けてしまうくらいの乗車時間ですしね。
EXこだまグリーン早特3は11,200円。ぷらっとこだまに+400円であれば全然ありだと思いますが、いかんせん体力との相談になりそうです。
東京=新大阪
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(のぞみ) | 14,720円 |
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 14,400円 |
自由席通常価格 | 13,870円 |
EX早特21ワイド | 12,370円 |
EXこだまグリーン早特3 | 11,410円 |
ぷらっとこだま | 11,210円 |
(2人以上のみ)EXのぞみファミリー早特3 | 12,570円 |
(2人以上のみ)EXこだまファミリー早特3 | 10,080円 |
東海道新幹線の終点、新大阪までは所要時間が4時間。寝ていけば余裕という人も多いですが、1時間半のロスがあります。確かに安いのですが、個人的には時間がもったいないというかなんというか…という感じです。
ただ、動画鑑賞などが趣味の方であれば、動画をどこで見ているかの違いなので、安いのは正義になるという考え方もあると思います。ぷらっとこだまとの価格差はわずか200円なので、東京=新大阪をぷらっとこだまで移動するくらいならEXこだまグリーン早特3で移動したほうがいいでしょう。
名古屋=新大阪
きっぷ | 価格 |
---|---|
指定席通常価格(のぞみ) | 6,680円 |
指定席通常価格(ひかり・こだま) | 6,470円 |
自由席通常価格 | 5,940円 |
EXこだまグリーン早特3 | 6,090円 |
ぷらっとこだま | 4,990円 |
(2人以上のみ)EXこだまファミリー早特3 | 4,280円 |
(参考)近鉄特急ひのとり(プレミアムシート) | 5,690円 |
(参考)近鉄特急ひのとり(レギュラーシート) | 4,990円 |
名古屋・大阪間については、通過駅が岐阜羽島と米原だけであることからあまりのぞみとこだまに時間差がないため、こだま利用に抵抗がない区間ですが、その分お得度は少し少な目になります。また乗車時間が短いのでグリーン車でなくてもいいかもしれません。
また、ここは近鉄の名阪特急「ひのとり」との競合もあります。ひのとりは近鉄名古屋と大阪難波をおよそ2時間で結びます。時間であれば「こだま」以上にかかりますが、新大阪となんばの移動時間が30分程度かかることを考慮すれば、名古屋駅と大阪ミナミの所要時間に差が出ないので選択肢になりえますね。
「EXこだまグリーン早特3」の注意点
このように非常にお得なきっぷである「EXこだまグリーン早特3」ですが、購入に際し気をつけなきゃいけないことがいくつかありますので触れておきたいと思います。
3日前までにインターネットでの購入が必要
これは最初に書いた通り、3日前までの購入が必要なきっぷになります。それより後に安い新幹線のきっぷが必要になった場合は、主要駅同士であれば「ぷらっとこだま」が、片方もしくは両方が主要駅以外の場合は新幹線自由席回数券のばら売りが選択肢になると思います。
子供用設定がない
グリーン車の利用には「乗車券+特急券+グリーン券」が必要になるのですが、グリーン料金には子供運賃の設定が基本的にないため、セットになっているこのきっぷには子供用の設定がありません。つまり、小学生のお子さんがいる場合、大人と同料金がかかることには注意が必要です(幼児の膝上利用は無料です)。
そのため、小学生のお子さんがいる家庭にとっては、このきっぷはおススメできないことになります。
後続自由席に乗車できない⇒必ず出発前に変更・払い戻し手続きを
指定の新幹線に乗り遅れた場合、ふつうのきっぷは当日中の自由席に無料で乗ることができるルールがありますが、EXこだまグリーン早特3にはそれが適用されません。つまり乗り遅れたらただの紙屑です。
ただし、払い戻しはネットで出発前であれば手数料320円で行うことができますし、他の新幹線に変更することも、正規料金との差額を支払えば可能です。
なので、EXこだまグリーン早特3利用時に乗り遅れそうになったら、即スマホで変更または払い戻しの手続きをしましょう。
まとめ
東海道新幹線のネット限定割引きっぷであるEXこだまグリーン早特3は、3日前までの購入でこだま号をお得に乗車できる切符になります。ネット会員限定のきっぷですので、購入する場合は、年会費無料の「スマートEX」に会員登録をする必要があります。
このきっぷが最も輝くのは、個人的には東京=名古屋の移動ではないかなと思います。2時間45分ということで動画1本くらいみるなり、仮眠をとるのにちょうどよい時間で、普通席に比べて1,500円ほど安く移動することができます。