2023年4月12日搭乗分から、JALの国内線航空券制度ががらっと変わるということが先日発表されました。有償の航空券、そして特典航空券制度についてもがらっとかわっていきます。ここ10年で最大の変更になるような感じです。
全体的にみれば、旅行者からすればメリットよりデメリットの方が多いかな、と思われる内容です。
そこで、本ブログでは2回に分けて2023年4月からのJAL国内線航空券がどうなるか、そしてどのように旅行者は対応していけばいいのかを書いていきたいと思います。
前編の本記事は、JAL国内線特典航空券の変更についてです。
目次
必要マイルの変動制(JAL国内線特典航空券PLUS)の導入
2023年4月から、JAL国内線の特典航空券に、「JAL国内線特典航空券PLUS」というのが導入されます。
今までは、特典航空券に空席がない場合はもうあきらめて有償のチケットを購入するか、「いつでも特典航空券」を使って大量のマイルを消費して予約するかの2択でした(まあ、後者は選択肢にないが…)
この極端な差を埋めるため、本来の特典航空券の枠が終了した場合、便ごとの予測残席数に応じた、追加マイルをいただくことで予約することが可能となります。この図でいうと、今までは一番右と一番左しかなかったのが、真ん中の2つのパターンが誕生することになります。
これにより、いつでも特典航空券は終了します。この前リリースされたばかりですが…(苦笑)
問題は、果たして一番左の「基本マイルだけで搭乗可能な特典航空券」の枠がどれだけ設定されるかです。今までの特典航空券と同じくらい設定されれば、むしろ枠がなくなっても少しの追加マイルで搭乗できるなどメリットもあるため、一概に改悪とは言えません。こればっかりは運用が始まらないと評価ができないです。
基本的には、BAなど他社にも開放する枠=基本マイル数だけで乗れる枠と考えてよさそうなので、そう大きく減らしてくるとは思いませんが…。
ちなみに国際線では、そこまで露骨に基本マイルで取れる座席が減ったとは感じませんでした。実際に過去の記事で検証していますが、場合によっては必要マイル数がエコノミーよりビジネスの方が少なくなっていたりしていて、クラスごとに残席にちゃんと連動しているんだと感心したものです。
なので、今回も「普通席では必要マイル数がアップしていたのに、クラスJでは基本マイル数で搭乗できるのでクラスJの方が必要マイル数が少ない」というような逆転現象があるかもしれません。まぁクラスJの人気は半端ないのでないと思いますが(苦笑)
まあともあれ、普通席とクラスJの両方の必要マイル数を確認するのは大事ですね。
特典航空券の変更が不可に
JAL国内線特典航空券plusの導入により、日にちや便によって必要マイル数が大幅に変わることから、2023年4月以降、国内線特典航空券の日付や便の変更ができなくなります。
これは今回の改定で一番大きいと私は感じています。
今まで国内線特典航空券って、「空いていれば即予約」という感じで予約をし、日程が合わない場合は、別の日付に変更して利用するなどして利用していた人も多いと思うんですよ。
特典航空券の場合、発券から1年以内であれば基本的に便変更が自由なので、特典で予約をし、旅行を変更する場合や安い運賃が発売された場合、その特典航空券を後ろ倒しにするとか便利だったんですよね。家族連れであれば子供の行事とか、また子供が体調崩したりとかいろいろありますからね(まあ子供の体調の場合は診断書取ればキャンセル料無料にはなりますが…)
それができなくなるということは、つまりJALの国内線特典航空券は、行くと確定した段階まで予約できないということになります。
地味に子連れで使いにくくなりますし、直前にいざ行こうとなっても、特典航空券plusで必要マイル数がどうなっているかは不明という感じです。
この辺は、必要マイル数が同一の場合(基本マイル発券→基本マイル便への変更)は変更可能にするとか、あと1年あるので対応してほしいですね。まぁJALのシステムはpoorということで昔から有名なので難しいのかもしれないですけど。
併せて、当日空港で空席があれば早い便に変更できるというルールも終了となります。これもANAにはなくてJALにあるメリットだったんですが(一度JALはなくしましたがすぐに復活しました)、なくなってしまうのは非常に残念です。
JMBダイヤモンド特典航空券が終了へ
JAL国内線特典航空券plusの導入により、従来の必要マイル数の2倍のマイルを支払えば、特典航空券席が埋まっていても有償席が空いている限り予約することができたJMBダイヤモンド特典航空券の制度が終了します。
まぁダイヤモンドでこれ使っている方がどれだけいるか私は知らないのですが、数少ないJGCプレミアにはない特典なので、ますますJALでダイヤモンドを目指す意味がなくなると思います。ダイヤモンドとJGCプレミアの差って、もはやギフトくらいなのでは…?
距離に応じて必要マイル数が7段階に変更
また、今回の改定では基本となる必要マイル数も細分化されます。
今までJALの国内線特典航空券では、北海道、沖縄内路線や羽田=大阪など短距離のA区間、ほぼすべての路線のB区間、沖縄離島と本土を結ぶC区間の3段階で必要マイルに差がついていました。
今回の改定により、区間はAからGまでの7区間となり、必要マイル数は、1,000マイル単位で刻んでいくことになります。
ゾーン | 必要マイル |
---|---|
Aゾーン | 4,000~15,500マイル |
Bゾーン | 5,000~18,500マイル |
Cゾーン | 6,000~19,500マイル |
Dゾーン | 7,000~26,000マイル |
Eゾーン | 8,000~33,000マイル |
Fゾーン | 9,000~37,500マイル |
Gゾーン | 10,000~43,000マイル |
総じて必要マイル数が増加に
今回の改定で、一部必要マイル数が少なくなる路線もありますが、多くの路線では必要マイル数が増加します。また、これらのマイル数はあくまで基本マイル数ですから、特典航空券plusが発動した場合、さらに必要マイル数は増加してしまいます。
具体的に、東京(羽田)からの必要マイル数を改定前と改定後でみていきましょう。
目的地 | 改定後 | 改定前 |
---|---|---|
山形・名古屋中部 | 5,000 | 6,000 |
大阪(伊丹・関空)・秋田・小松 | 6,000 | |
函館・青森・三沢・南紀白浜・岡山・出雲・広島・徳島・高松・松山・高知・大分 | 7,000 | 7,500 |
札幌(新千歳)・旭川・女満別・釧路・帯広・山口宇部・福岡・北九州・長崎・熊本・宮崎・鹿児島 | 8,000 | |
奄美大島・那覇 | 9,000 | |
久米島・石垣・宮古 | 10,000 | 10,000 |
羽田起点でみると、山形や中部といった超短距離路線と、東北、中国、四国路線を中心に必要マイル数は少なくなりますが、九州、沖縄路線では必要マイル数が増加することになります。
読者には関西の方も多いと思うので、大阪発も同様にまとめてみました。
目的地 | 改定後 | 改定前 |
---|---|---|
但馬 | 4,000 | 6,000 |
松本・隠岐・出雲・松山 | 5,000 | |
東京(羽田・成田)・熊本・福岡・大分・宮崎 | 6,000 | |
秋田・花巻・仙台・山形・新潟・長崎・鹿児島・種子島・屋久島 | 7,000 | 7,500 (徳之島は6,000) |
札幌・旭川・函館・青森・三沢・奄美大島・徳之島 ・那覇 | 8,000 | |
女満別 | 9,000 | |
宮古・石垣 | 10,000 |
大阪発は東京発に比べて必要マイル数の上昇が少なく、増加の大半は北海道、青森、沖縄など一部です。むしろ短距離路線と宮古・石垣に関しては必要マイル数が減ります。大阪の人は基本マイルで予約できれば、今までよりちょっとお得に旅行ができるということになります。
私が東京の人間なので、ついつい今回のチャートは改悪だなと思ってしまったのですが、関西の方はそうでもないですね。
東京=沖縄へのアドバンテージが消失
特にJALマイルの使い道として、私個人的な意見ではありますが沖縄路線での利用を推していました。
というのも、現在は沖縄はもともとANAに比べて必要マイル数が少ないというのがあります。ANAがレギュラーシーズンで片道9,000マイル、ハイシーズンなら10,500マイルなのに対し、JALマイルはレギュラーシーズンで7,500マイルで利用できました。
それが、今回のチャート変更・細分化により、通常マイルで搭乗できる場合でも片道9,000マイル、つまりANAのレギュラーシーズンと同数のマイルが必要になってしまいました。
こうなってくると必ずしもJALの優位性というのはありません。JALの必要マイル数が増えた今後は、沖縄に行く際は改悪がない限りソラシドエアのマイルも貯めて使っていきたいですね。
乗り継ぎが必要なルートではオトクになる
一方で改善点もあります。
今回、JALが新たに「乗り継ぎ特典航空券」を設定しました。これは、直行便のない区間において、乗り継いで利用する場合、1枚の特典航空券として予約することができるようになります。
乗り継ぎ時間は6時間以内に限りますので、一度空港にでて簡単な観光はできますが、UAマイルのように1泊するとかはできません。
例えば羽田から屋久島に行く場合、鹿児島空港で乗り換えるのが一般的ですが、今までは
- 羽田=鹿児島:7,500マイル
- 鹿児島=屋久島:5,000マイル
の、合計12,500マイルを支払っていました。この場合、鹿児島から屋久島に行く際は5,000マイルを追加で使わず、10,000円程度の航空券を購入するか、鹿児島港まででてフェリーで屋久島に向かっていた方も多いかと思います。まぁフェリーで行く屋久島はそれはそれで楽しいんですけどね。出会いとかあったり。
今後は、羽田から屋久島に行く場合、2区間通しで基本マイル8,000マイルとして設定されましたので、従来の12,500マイルよりも少ないマイルで利用することができます。
ただし、羽田から屋久島に乗り継ぎで行くにしても、同じく屋久島への直行便が就航している福岡や大阪経由ではこの設定がないので、乗り継ぎ地は鹿児島に限定されていることは注意してください。
離島便のほか、直行便がない地方都市から観光地に行く路線などでも、羽田や伊丹を経由地として乗り継ぎが可能です。例えば九州各地から新千歳までは、今までは羽田まで7,500マイル+羽田から7,500マイルが必要でした。それが9,000マイルで羽田や伊丹で乗り継いでいけるようになります。
今までJALマイルを使って北海道に行きたい福岡周辺以外の九州の方は、泣く泣く15,000マイル利用するか、直行便のある福岡まで他の交通機関で移動してから利用していたと思います。そもそも最初からJALという選択肢をとらず、UAマイルを使ってANAで行っていた人も多いかと思います。
ということで、羽田線や伊丹線などが中心の地方都市の方にとっては、今回の乗り継ぎ設定はかなり大きなメリットになると思います。北海道や沖縄などの旅行時には、今までUAマイルを使っていた方も多いんじゃないかなと思いますが、今後はJALもかなり使えるんじゃないかなと思います。
空港旅客使用料はクレカ徴収へ
2021年から、国内線特典航空券で羽田空港など空港旅客使用料(PFC)がかかる空港を利用する場合、1マイル1円換算し、マイルを追加で引き落とされていました。
ANAや、BAマイルを使ったJAL利用時などは別途クレジットカードで日本円として支払っていましたが、JALはマイルの支払ということで、正直かなり評判が悪かったと思います。
これは2023年4月以降、他社と同じように空港旅客使用料はマイルではなくクレジットカードで引き落としになるようですね。これは改善といったところでしょうか。
特典航空券でファーストクラスが予約可能に
新たに、特典航空券で国内線ファーストクラスに搭乗できるようになります。
必要マイル数は以下のとおりです。
路線 | 基本マイル | 特典航空券plus(最大) |
---|---|---|
羽田=伊丹 | 12,500マイル | 23,000マイル |
羽田=新千歳・福岡 | 16,000マイル | 33,000マイル |
羽田=那覇 | 18,000マイル | 37,000マイル |
おそらく基本マイルでとれる席は1席(多くて2席)とかだけだと予想されますが、特別な日にはいいかもしれないですね。
また、特典航空券plusでもそこまで必要マイル数が上がらないのはポイントだと思います。沖縄線の場合、普通席の特典航空券Plus上限は37,500マイル、クラスJが39,000マイルなんです。
国際線だと、たまに上位クラスの方が必要マイル数が少ないということが実際に発生するのですが、同じことが国内線でも発生するかもしれません。
今後の対策について
このように、国内線特典航空券については、乗り継ぎを要する路線を利用する場合などメリットも新たに生まれますが、基本的には「改悪」と言えるものだと思います。
航空会社もマイルの扱いには苦慮していると思われ、コロナでただでさえ収益が悪いので、どうしてもたくさんのマイルを使わせたい、一方で露骨にマイルのインフレを起こすと利用者が離れ、マイルを貯めてくれなくなる恐れがあるということで、基本のマイル数を上昇させずにオプションでマイルを回収していくというスタンスに変わってきたのかと思います。
航空会社のマイルはある意味「ゲーム」だと思っていて、このゲームのルールでいかに効率的に利用していくかだと思います。嘆きたくなるのはわかりますし、私も嘆いていますが、先のことを少し考えていかないといけません。
そこで、私なら今後こうしていくなというのを最後に少し書いておこうと思います。
国際線での利用を主眼に?
JALのマイルは国際線で使う!という割り切りです。
ANAに比べて必要マイル数が多い路線も多いのですが、それでも国際線のビジネスクラスに、特典航空券plusにならないマイル数で利用することができれば非常にオトクです。マイル単価もかなり高いものだと思います。
もちろん繁忙期は基本マイル数で乗れる特典航空券はプラチナチケットになるので特典航空券plusが導入され、必要マイル数が跳ね上がってしまいますが、GWやお盆、年末年始といった超繁忙期、またハワイなどの人気路線を除けば、そこそこ普通のマイル数で予約できたりします。
また、提携航空会社であれば必要マイル数が決まっていますので、ワンワールドの他の航空会社にマイルを使いたいなと思います。ハワイアン航空はJALより取りやすいイメージもありますし、先日フィンエアーも新たな座席を発表したり、世界は着実に前に動いているので、これらを楽しみにマイルを引き続き頑張っていこうかなぁと思います。
BAマイルの価値が相対的に向上か
今回の改定を受けて、先日改悪されたブリティッシュエアウェイズ(BA)のマイル(avios)が相対的にオトクになってくることになります。
実は私もBAマイルは必要マイル数が増加したことにともない消化に走り始めていましたが、やっぱりちょっと取っておこうかなと思いました。
現在はコロナ対応中ですし、コロナ対応を無しにしても、出発24時間前までなら空港使用料の返却を放棄すればマイルが全額戻ってくるという現行ルール、今後非常にありがたくなってくるのではないかなと思います。
予定がたたないときほど、JALではなくBAマイルで予約したくなりますし、相対的に利用価値が上がってくるのではないかなと思っています。
どこかにマイルを有効に活用?
JALのマイルの使い道として引き続きお得で、今回改悪が入らなかったのが、表示された4か所の目的地の中から自動的に選択されるという、ミステリーツアー的な要素のある「どこかにマイル」です。
これ往復一人あたり6,000マイルで旅行ができるというメリットがあります。引き続き少ないマイルで旅行を続けることが可能な、とっても素晴らしいマイルの使い方です。
1か月前からしか予約できないことや行先が確定しないというデメリットはありますが、それでも新たな発券があるかもしれないですし、表示された4か所ではちょっと…となった場合、再検索のボタンを押せば、別の4地点がでてくるということになります(まぁ同じところがそれなりに出てきますが)。これを繰り返して、「この4箇所ならどこに当たってもいいかなぁ」と思えたら申し込める仕様になっています。
先日私も久々にどこかにマイルを試し、選ばれたのが北九州でした。北九州は学生のとき青春18きっぷを使った旅行で訪れて以来になるので楽しみです。
まとめ
JAL国内線特典航空券のルールが、2023年4月12日搭乗分より大幅に変更になります。要点としては、
- 必要マイルは空席に連動する形の変動制導入(評価は保留)
- 基本となる必要マイル数の変更(関東民なら改悪、関西民ならイーブン)
- 乗り継ぎ旅程の特典航空券の導入(改善)
- 特典航空券の変更不可(大改悪!)
- ファーストクラス特典航空券導入(改善)
になるかなと思います。何より、特典航空券の変更不可の大改悪が、他のメリットを全部吹き飛ばしているくらい、残念な制度になってしまいました。せめて必要マイル数が同数の場合などは変更ができるようにしてほしいです。
必要マイル数が増加傾向になり、個人的には、「最強の使い方はどこかにマイル」かなと思うくらいになってきましたね。最近あまりガチャしていませんでしたが、今後は家族旅行でもガチャを使っていこうかな…と思いました。
とはいえ決まったこと。今回の特性を踏まえながらマイルを使っていきたいですし、引き続きJALマイルを使うなら、今まで以上に気合を貯めてマイルを貯めないとだめだなあと実感しました。
ここは頑張っていきたいと思います。JALマイルのため方は、以下にまとめていますので参考にしてみてください。