全国各地で観光客の回復などを目的に、国内旅行に対して補助する施策が行われています。
観光業が盛んな北海道でも道が補正予算を組んでおり、「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」というもので、北海道の公共交通の需要喚起を行うようです。
これにより、北海道ではさまざまな公共交通機関のフリーきっぷなどの企画乗車券が割引になっています。
その中でもJR北海道全線の特急自由席が乗り放題の「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」というのが発売され、なんとJR北海道が6日間12,000円で乗り放題となります。
2020年夏に初めて投入されて大盛況だったこのきっぷが、2022年度の冬にも販売されることになりました!北海道の長距離運転は大変なので、これは北海道周遊旅行の強い味方になりそうですね。
目次
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの概要
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスは、JR北海道内の在来線特急列車の普通車自由席及びジェイ・アール北海道バス(一部路線を除く)が6日間乗り降り自由なきっぷです。
JR北海道内は札幌と各地を結ぶ特急列車が多数走っていますが、普通列車のみならずこれらの在来線特急もすべてこのきっぷを持っているだけで利用可能なので、このきっぷ1枚で、函館、札幌、旭川、網走、稚内、釧路などの道内主要都市に自由に行くことが可能です。
このきっぷは基本的には自由席を利用するものなのですが、6日間で指定席を4回まで利用することができます。始発駅以外から乗る場合や長距離に乗る場合、はたまた景色のよい路線で窓側に確実に座りたいときなどに有効に使いたいところです。北海道をくまなく旅行する人には、この上ない非常におトクなきっぷです。
ただし、道東で運行している「SL冬の湿原号」に乗車する場合は、この4回の指定席券を利用することができず、別途購入する必要があります。この冬から、JR北海道ではSLは別の指定席として値上げしたもので…
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの料金
今回のHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスは、北海道内で6日間特急自由席乗り放題で、料金は12,000円となっています。ちなみに子供用料金の設定はないので、小学生以上の子供も同様に12,000円となります。
はっきり言ってこの値段きいたとき、私は何かの間違いではないか?と思ったくらいですよ。はっきりいってバグってるレベルのお得度です。
それは1日あたりに換算してみればわかりますが、なんと2,000円ですよ!
ちなみに毎年夏休み、冬休み、春休みに発売される普通列車に乗り放題の青春18きっぷの1日単価が約2,400円ですから、それよりも安いという状態です。
ちなみに、ふだんJR北海道で販売しているフリーきっぷに「北海道フリーきっぷ」というのがあって、これは7日間特急自由席乗り放題で料金が27,430円ですから、利用期間が1日短いとはいえ、これの半額以下の料金設定となっています。
これはお得すぎます。北海道周遊旅行をしたいと思っていた人は、この機会に北海道いかないとだめでしょう!!
利用期間
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの利用期間は、2023年2月2日から2023年3月31日までの連続する6日間になります。
冬の2か月間の長期間にわたってこのきっぷが販売され、乗り放題になります。
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスは「連続する」6日で利用することが条件なので、3日乗ってまた別の日程で3日利用する、といった利用方法はできません。
また今回すごいのが、通常このような割引運賃の適用除外になる連休・年末年始シーズンも対象になっていることです。このきっぷは有効期間が6日間と長く、有効に利用するにはそれなりに休暇も必要となりますが、年末年始に使えるとなると、この期間に北海道周遊旅行をぶち当てたくなります。
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの発売期間
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの発売期間は、2023年2月1日~2月28日となっています。
ここで注意なのが、チケット自体は3月末まで利用できるものの、販売は2月末までなのです(たぶん予算処理の都合上)。そのため、3月にHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスを利用しょうかな?と思っている方は、2月中に一度北海道にいって購入する必要があるのです。あるいは、北海道に行く予定のある友人に買ってきてもらう、という方法もあるかと思います。
とはいえ、この後紹介しますが破格すぎて、6日間使わなくても十分に元を取ることは可能です。個人的には3~4日で元はとれるかな…。
また、今回のHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスは、北海道の補助金事業である「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」を活用しているため、補助金の上限に達した場合は、発売期間中でも発売を終了します。
実際、2022年秋に同様のきっぷが発売された際、12月末までの予定で発売されましたが、10月中旬に予算が尽きて終了となっています。
今回もすぐ予算が尽きる可能性がありますので、購入はお早めに!
新型コロナウイルス感染症の拡大により発売を一時休止することがあります。実際2022年1月には感染拡大により中止しました。
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスの購入方法
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスは、利用前日までに、JR北海道の主な駅の指定席券売機、みどりの窓口、旅行センターで購入することが可能です。
このきっぷは東京や大阪など、JR北海道以外のエリアでは購入することができません。
そのうえ、このきっぷ最大の難点が前日までに購入しなければいけないというルールです。北海道に到着した初日にきっぷを利用することができないのは、旅の計画をたてる上で注意が必要です。当日に札幌駅や新千歳空港駅などのみどりの窓口で「今日から6日間!」とお願いすることはできません。それすると、「明日から6日間」になってしまいます…。
一番効率的なのは、アクティブな旅程を始める前日の夜のうちに新千歳空港にたどり着き、千歳駅周辺のホテルに宿泊することだと思います。JR千歳駅周辺にはクラウンプラザやルートイン、JRインなどビジネスホテルも充実していますので、宿泊に困ることはありません。新千歳空港との間に送迎バスを用意しているホテルもあります。宿代は意外と札幌より高かったりしますが…。
切符の購入に際しては窓口に並ばなくても、札幌駅や新千歳空港駅などの主要駅に設置されている指定席券売機を使えば、HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスを購入することが可能です。
指定席券売機の最初の画面で「QRコードの読取」を選択し、このQRコードをにかざすだけで、面倒な操作なしに簡単にHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスを購入することができます。使う予定がある人はぜひ覚えておいてください!ぜひ本記事のブクマを!(笑)
また、先程紹介したとおり、このきっぷは特急に乗車は可能ですが原則は自由席となり、4区間まで指定席を利用することが可能です。座席指定を行う際は、このタイプの自動券売機で「指定席」を選択→「回数券・オトクなきっぷに座席指定」を選択することによって指定・発券可能です。
JR北海道の自動券売機は、JR東日本と同じインターフェイスを採用しているため、基本的な操作感も同じになっています
観光やお土産の割引も受けることが可能
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス購入者には、切符以外にも北海道観光をお得にすごすことができる割引などのサービスがあります。
まずは宿泊施設での特典です。
道内の主要なホテルでは、HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスレイトチェックアウトやドリンク1杯無料などのサービスがあったりします。レイトチェックアウトは1時間程度ではありますが、旅行最終日などゆっくりしたいときには有難いサービスです。
このほか、観光地やお土産屋でのちょっとした特典もあったりします。
例えば、札幌駅直結のJRタワーの展望台「タワー・スリーエイト」は通常入場料が740円かかりますが、これが無料になります。札幌に行かれた方であれば大通公園のタワーや藻岩山などに登ったことがある人は多いかと思いますが、なかなかJRタワーに登ったことがある人は多くないのではないかなと思います(私もありません)。この機会なのでぜひどうでしょうか。
また、キヨスクや北海道四季彩館などでHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスを提示すると、10%の割引を受けることが可能です。ただし、石屋製菓や六花亭、ロイズなど、割引対象外商品があるのは注意が必要です。
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスはどのくらいオトクなのか
このHOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスですが、年末年始を含め自由利用できるフリーきっぷで、他のJR各社のフリー切符に比べて、圧倒的に使いやすくなっています。
唯一といえるデメリットは、北海道到着日に購入できないことです。これを回避する一つの方法として、たとえば周遊開始の前日夜に新千歳空港に到着する便で到着し、駅できっぷを購入後、千歳や札幌のホテル等に宿泊する方法がよさそうですね。
区間 | 特急指定席の定価 | 割引運賃 |
---|---|---|
札幌~函館 | 9,440円 | 5,660円 |
札幌~旭川 | 5,220円 | 2,860円 |
札幌~網走 | 10,540円 | 7,360円 |
札幌~稚内 | 11,090円 | 7,200円 |
札幌~釧路 | 9,990円 | 5,990円 |
6日間12,000円で乗り放題と聞いただけで、どう考えてもお得なのはわかると思いますが(笑)、念のため解説しておくと、札幌から釧路、網走や稚内まで、普通に切符を購入すれば片道料金が約1万円なので、これらとの往復だけで十分に元が取れてしまいます。
とはいえ、JR北海道には席数限定の割引きっぷの設定がありますから、定価で計算するとアンフェアなのでこれを使った場合を計算しておきましょう。
お先にトクだ値を使うと、札幌ー釧路で最も良い割引適用で往復12,000円、網走や稚内では14,000円以上かかります。つまり、割引きっぷを考慮しても、札幌から道東、道北までの往復に、札幌と新千歳空港の往復をつければ、十分元がとれるという計算です。
北海道を周遊すれば破壊力は抜群
フリー切符の期間が6日間もあるので、たとえば、南千歳→(特急おおぞら)→釧路→(釧網本線)→網走→(特急オホーツク)→札幌→(特急北斗)→函館と、逆「の」の字でぐるっとまわるような周遊旅行を考えれば、これはもうめちゃくちゃオトクということになります。
北海道周遊というのは私もまだ大学生のころ、2004年の3月にやっています。このときは流氷をみにいったのですが、まぁ吹雪がひどくて大変でした(笑)
特にこの季節、雪が多いのでやっぱりドライブはなかなかしんどいですが、鉄道であれば楽に都市間を移動することができます。
2020年7月に実際に使ってみた際の様子
私も実際にこの「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」を利用して、2020年7月に北海道旅行をしてきました。
このとき、周遊旅行も最初は考えたのですが、このときは「サッポロ夏割」という、札幌市内のホテルが実質8,000円引きとちょっと考えられないくらい格安になるキャンペーンを実施していたため、周遊よりも札幌に宿泊した方がオトクということから、札幌を中心に、道内各地に日帰り旅行を楽しむというスタイルで旅行しました。
夕方に北海道に入り、HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パスを購入して準備したのち、翌日朝からは富良野に日帰り旅行をしました。富良野は札幌から2時間ほどで行くことができるため、日帰りでも全然苦にならない距離です。この日は札幌から「フラノラベンダーエクスプレス」という富良野直行の特急があったため、乗り換えなしで富良野にいくことができました。
富良野にいった翌日は、日本最北の地である稚内の宗谷岬にも日帰りで行ってきました。札幌から稚内への日帰り旅行も可能です。
稚内までは札幌から300キロ以上あるため、35%割引されるえきねっときっぷを使っても札幌と稚内の間は片道で7,360円かかりますので、稚内往復だけでも、十分にきっぷの元がとれます(私は帰りは飛行機を使ってしまいましたが、富良野をあわせて元はとれました)
このとき実際私が利用した際は、こんな感じでした。
区間 | 列車 | 通常料金 |
---|---|---|
札幌→富良野 | 特急フラノラベンダーエクスプレス(指定席) | 7,110円(ふらの・びえいフリーきっぷ) |
富良野→札幌 | 特急フラノラベンダーエクスプレス(自由席) | |
札幌→稚内 | 特急宗谷(指定席) | 7,360円(えきねっとトクだ値) |
新千歳空港→札幌 | 快速エアポート(指定席) | 1,680円(uシート込み) |
札幌→新千歳空港 | 快速エアポート(指定席) | 1,680円(uシート込み) |
合計 | 17,830円 |
指定席4回も利用し、富良野往復と稚内片道、そして新千歳往復で最も安いきっぷを選択したとしても17,830円かかっていますから、これだけで、少なくとも5,000円以上オトクになっています。
まぁ快速エアポートで指定席(Uシート)を使っちゃったりはしていますが、それを除いても4,000円以上お得でした。
今回が最後の販売かも?
「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」は2020年の夏に販売を開始した後、追加で繰り返し販売されてきました。コロナからの観光回復期につくられた九州や四国のお得なきっぷが順次値上げされたり廃止されたりする中、この切符が存続しているのは、北海道からの税金の投入があるからです。
そんな中、2023年の北海道の予算はまだ公表されていませんが、観光需要も回復してきたので旅行助成の費用は2020年から22年までに比べて削減されるのではないでしょうか。そうなると、半額を税金投入する前提のこの切符の販売は無理でしょうから、今回で最後という可能性もあります。
あるいは北海道の助成率が切り替われば値上げで存続、という可能性もあると思います。
まとめ
北海道の交通機関を支援する「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」が始まります。これを利用して、JR北海道が、6日間特急乗り放題の「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」を破格の12,000円で再び販売することになりました。
観光振興のために、JR九州が2日間1万8千円で乗り放題(延長はなかった))とか、JR四国が3日間9,000円の乗り放題切符(これは終了)を出していましたが、これらは残念ながら終了してしまいました。
そんな中JR北海道の6日間12,000円は継続され、もう破格すぎてしょうがないレベルです。
北海道は広いので、いざドライブで回ろうとすると運転時間が長時間になりがち。鉄道で回れるエリアは限られますが、それでも1週間かけて、のんびりと北海道を周遊する旅行なんかもいいのではないかなと思います。
実際私も利用しましたが、北海道にさえいけば簡単に購入できて、非常にお得だなぁと感じました。あまりにお得すぎるので、「元を取る」ことを気にしなくていいので、気ままな旅にも使えると思います。
これから少しずつ気温も上昇していく北海道の観光シーズンはこれからです。北海道周遊旅行を考えている人は、ぜひチェックをしてもらえればと思います。