コロナ禍前は、国際線に搭乗するときの手続き、荷物検査で、出入国審査で、搭乗時にパスポートや搭乗券を提示する必要があります。保安のため、乗り間違い防止のため大事なことだとはわかっていますが、ちょっとめんどくさいなと思ってしまう部分も少しありました。
これが、現在は成田空港と羽田空港で、最初に顔認証してしまえば、そのあと搭乗までカメラによる顔認証でスルーできるという画期的なシステムが導入されています。コロナで海外渡航ができない間も、技術は着実に進歩しています。
2023年春現在、羽田・成田どちらの空港も出国に時間を要する状態となっていますが、これにより時間を短縮することができますし、いちいちパスポートを提示する必要がなくなります。どういうものか少し見てみたいと思います。
目次
コロナ禍前の出向時の流れ
コロナ禍前、2019年の日本から出国する際の手続きの流れは今のところ以下の通りです。
- チェックイン(パスポートが必要)
- 保安検査場での手荷物検査(パスポート・搭乗券をチェック)
- 出国審査(パスポート・搭乗券をチェック)
- 搭乗(パスポート・搭乗券をチェック)
カウンターでパスポートを提示したり、Web上でパスポート情報をチェックインした後も、保安検査、出入国審査、搭乗前の三回、その都度搭乗券やパスポートのチェックがありました。
その都度、仕舞ったパスポートを取り出して提示する、というのを3回繰り返しますので、ちょっと面倒なところもありますよね。特に、搭乗券はともかくとして、パスポートは隠して持ち歩く人も多いと思います(私もとあるところにパスポートはしまっています)。そんなときにいちいち取り出すのは面倒ですよね。
成田空港・羽田空港で顔認証システムを用いた搭乗手続き「Face Express」を導入
そんな面倒も現在は、成田空港からや羽田空港の出国時はなくなりつつあります。
2021年以降、成田空港や羽田空港では、顔認証によるシステム顔認証技術を用いた搭乗手続きを導入しています。これは、航空会社でのチェックイン時に顔写真を登録することで、保安検査や搭乗ゲートなどを止まることなく通過できるようになるものです。
システムはNECが開発したOneIDと呼ばれるものです(なので、今後OneIDという言葉がでてきますが、Face Expressと読み替えてもらえればと思います)
チェックイン時に顔写真をシステムに登録することによって、利用者はチェックイン時に搭乗者の顔写真とパスポート情報、搭乗情報を関連付けし、システムに一時的に保存します。
保安検査場入り口や搭乗ゲートなどで、歩きながら顔写真を撮影。システムの情報と照合し、本人確認を行います。
この「Face Express」の導入により、保安検査や出国審査、搭乗ゲートの各ポイントでの搭乗券やパスポートの提示が不要となります。利用客はチェックイン時に登録した顔写真で本人確認することで歩きながら手続きすることができ、いわゆる「顔パス」(ウォークスルー)で通過できるようになる。利用客は搭乗までの手間軽減が図られる。
まさしく、「顔パス」です。顔パスで空港とかなんかかっこいい(笑)
このようなシステムが導入されるのは世界発とのこと。これこそテクノロジーの進化ってやつですね。
顔認証によるチェックが利用できる条件は?
今回、成田空港で導入される顔認証による顔パス搭乗の対象ですが、航空会社などによって利用できる、できないがあります。
まず、2023年5月現在、に利用できる航空会社は以下のとおりです。
- 日本航空(成田:全便、羽田:全便)
- 全日本空輸(成田:全便、羽田:台北行、パリ行のみ)
つまり、まずは日系の2社に成田空港から搭乗する場合になります。外資系航空会社がどこまで運用するかは、現時点では未定となっています。
また、羽田発の全日空については、台北行とパリ行のみ利用ができる状態です。JALは全便利用できるので、早くこちらは改善してほしいところですね。
また、顔認証が適用できるのは、おそらく現在の顔認証による出入国審査の基準である、身長が135cm以上の人に限られることになるのではないでしょうか。
やはり小さい子供はパスポートの写真と本人の顔が変わってしまいますし、カメラの認証が低い位置までは届かない部分もあるでしょうしね。これは仕方がありません。
具体的にステップ別にどうなるかをみてみる
このFace Expressが導入されたことにより、具体的にどう便利になったのか、ステップ別にみていこうと思います。
チェックイン時
まず、航空会社へのチェックインの際にパスポートを機械で読み取るとともに提示し、パスポートの写真と本人が一致するかどうかのチェックを行います。
そのうえで本人確認が取れたら、パスポート情報、写真情報、搭乗券の情報を空港のシステムに一時的に保存します。
このシステムに情報を搭載したくない場合は希望しないことも可能です。その場合は従来どおりの審査となります。
また、上級会員の対面カウンターでチェックインした場合やWebチェックイン済の場合は、Face Express登録のための専用の機械が整備されており、こちらを利用することも可能です。
ただ、羽田空港のF/JGCカウンターのシマはこれ1台しかなかった上に、登録に苦戦する人が多く意外と待ちましたねー。台数増やしてほしいです。
手荷物預入時
チェックインが終わったら荷物を預ける人も多いと思いますが、このタイミングではもうパスポートも航空券を提示する必要もありません。
専用のドロップカウンターがあり、こちらでカメラで顔認証をすれば、搭乗券の情報をもっていますので、搭乗券を提示しなくても最終目的地を判断してくれます。
なお、上級会員のカウンター等を利用してチェックインした場合は、チェックインとあわせて荷物を預け、そのあとにFace Expressを登録するという流れになります。
保安検査時
保安検査場では従来パスポートと搭乗券の確認がありましたが、これもなくなっています。
歩きながら顔写真の撮影が行われ、システム内で本人認証を行い、認証が完了すれば、パスポートや搭乗券をかざすこともなく、職員による確認もなく、ゲートがさっと開くようになっています。
ただ、この後の保安検査自体は残っています。ここがまだ少し込み合っている状態ではあります。
搭乗前
最後、搭乗ゲートでも歩きながら写真をとって認証を行い、保安検査場と同様にウォークスルーで搭乗することが可能となります。
ただ、2023年GWに搭乗した際は、昔と同様にパスポートと搭乗券の確認を全員に対して実施していました。まあFace Expressで搭乗する人とそうでない人を搭乗ゲートで分けるのは難しいので、そういう運用なんでしょう。
一応ゲートにはFace Expressの顔認証のシステム自体は入っていたので、今後運用がかわるかもしれません。ただ実際ここは難しいんだろうと思います。
まとめ
2021年の夏以降、羽田・成田の両空港において、最新の顔認証システムを用いた搭乗の簡略化が行われています。
現在は2空港のみ、さらに国内航空会社のみの運用となっていますが、国交省の2019年の資料なんかによると順次外国の航空会社にも開放していくとの記載もありました。
また、現在導入されていない関空なども、おそらく万博までには導入されると思います。人手不足が叫ばれている世の中ですが、少しでもテクノロジーの力を借りて、快適な旅行になってほしいものです。
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