ビザなしで渡航できる国が多く、2019年度は「世界一強力なパスポート」とも言われている日本のパスポート。やっぱりパスポートの力が強いなというのは海外旅行に行くと感じるものです。
さて、そんな中、ちょっと気になるニュースが聞こえてきました。2022年末からヨーロッパ諸国に渡航する際に、「ETIAS」と呼ばれる事前手続きをしなくてはいけなくなるようです。
アメリカのESTAやオーストラリアのETASと同じように、事前に入国に関しての情報をネットで申請する仕組みですが、今日はこれについてみていきたいと思います。
目次
「ETIAS」とは?
ETIASとは、「European Travel Information and Authorisation System」(欧州渡航情報認証制度)の略です。
ヨーロッパの多くの国は、シェンゲン協定に加盟しており、最初に入国する国で入国審査を行っています。とはいえ、ヨーロッパの場合入国カードもないのでパスポートを渡すだけですし、そもそも日本人の場合は入国審査時に質問すらされなかったりします。
私もフィンランドのヘルシンキではやたら質問されましたが、それくらいですかね。パリもフランクフルトも何も聞いてきません。
なのであんまりヨーロッパへの入国って身構えたりしないことも多かったのですが、最近はヨーロッパでもテロが続発するなど治安の悪化などもあり、ヨーロッパに限らずの出入国審査も厳しくなっているようです。
今回、そのシェンゲン協定加盟国に入国する際、渡航者を事前に審査する仕組みが取り入れられます。
インターネットで事前に渡航予定者の情報を収集し、収集されたデータは徹底した情報保護されたうえで、インターポールなどの国際公的機関などのデータベースと照合され、潜在的なセキュリティ・リスク予測として活用されます。
また、航空機の搭乗前にETIASの有効性が確認されるため、 ETIASが承認されていない場合、飛行機に乗るすることはできなくなります。
いわゆる事前審査制として、ETIASのイメージとしては、アメリカのESTAと近い内容になります。
ETIASはいつから開始されるの?
ETIASの制度開始は、2022年末以降に、シェンゲン協定の域外からの渡航者に対して行われることになっています。
2022年までは、特段の手続きなしでシェンゲン協定加盟国内への入国が可能です。そもそもいつヨーロッパにいけるようになるかわかりませんが…。
ETIASの制度開始は、当初2020年、続いて2021年1月からとアナウンスされていましたが、2022年末に延期されました。
ETIASはどの国への渡航に必要なの?
ETIASの事前手続きが必要なのは、基本的にはシェンゲン協定に加入している国への渡航です。
イギリス、アイルランドを除く北欧、西欧の大部分の国が対象となりますね。
特に気をつけたいのが、イギリスはシェンゲン協定のエリア外なのでETIAS自体は不要なんですが、イギリス滞在時にユーロスターでパリやブリュッセルまでふらっと行くときには必要となりますので注意が必要です。
ETIASが必要な人は?
シェンゲン協定加盟国に2022年末以降に行く場合は、ETIASの申請は日本人全員が必要です(長期滞在や特段の事情でビザを取る場合は不要です)
日本人であれば年齢などは関係なく、もちろん赤ちゃんでも申請が必要となります。18歳未満は手数料が無料なのですが、それでも手続き自体は必要なのでご注意ください!
なお、ヨーロッパ各国に飛行機の乗り継ぎで空港に降り立つだけなら、ETIASは不要となります。例えば、パリのシャルルドゴール空港を経由してアフリカ方面に向かう場合や、ドイツのミュンヘン空港から南米に向かう場合などが考えられます。
アメリカのESTAの場合は、アメリカ国内で第三国に乗り継ぐ場合も必要ですが、あれは乗り継ぎ時に一度入国しなければいけないからです。ヨーロッパ各国の場合、入国せずに国際線に乗り継げますから、この場合は不要となるんですね。
ただし、空港の国際エリアから外に出たい場合は、ETIASの申請ないと空港外に出ることができなくなりますのでご注意ください。個人的には飛行機が遅延して一度入国するリスクなどを考えたら、ヨーロッパ経由便利用なら申請しておいたほうがいいかなー、と思います。
ETIAS取得に必要な費用
ETIASの費用は、2019年2月現在では7ユーロになる予定です。2020年8月のレートであれば、およそ900円程度になります(ただし、18歳未満は無料)。
アメリカのESTAが14ドルなのに比べると比較的安い値段に抑えられていますね。
ただし、もともとの制度設計のときは5ユーロを想定していたんですが値上げされた経緯もありますので、システム導入費用や運用費用が増加する場合など、さらなる値上げがあるかもしれません…。
ETIASの有効期限は?
申請によって取得したETIASの有効期限は3年となります。この3年の間であれば、一度ETIAS申請しておけば、何度でもシェンゲン協定エリアへの入国が可能となります。
ETIASでの入国は、今までのノービザでの入国条件と同様、1回あたり90日以内となります。
ただ、ETIASはパスポート情報と紐づけられているので、3年以内でもパスポートを更新したらそこで無効となってしまいます。その点をご注意ください。これはアメリカのESTAでも同様ですね。
ETIAS申請に必要な項目と所要時間
ETIASの申請は、インターネット経由で各自のPCやスマホなどから行うことになります(おそらく代行業者なども出てくると思いますが)。
申請にあたっては以下のような渡航者の個人情報が必要になると公式のホームページでアナウンスされています。
【申請内容】
姓名、生年月日、出生地、性別、現在の国籍、申請者の親の名前、自宅の住所、メールアドレス、電話番号、パスポート番号の情報、他の国籍や市民権に関する情報、永住権の住所、最初に入国する国、学校または現在の職業情報
【適格性の質問】
1.病状または他の感染性または伝染性の寄生虫性疾患に関連する。
2.過去の犯罪の有無
3.戦争地域の国への渡航歴
4.移民または渡航履歴について
5.EU加盟国にへの入国拒否または強制送還歴
6.申請者が未成年者の場合、未成年者の責任者の身元について
7.申請者が申請人本人とは異なる第三者によって提出された場合、その者およびその会社の
おおむねESTAと同じ項目が列挙されています。ESTA天敵の「会社の住所」とか「滞在ホテルの住所」とか地味に面倒くさいものが今のところはないのですが、「親の名前」は、自分のならともかく同行家族(特に義理の親など)の場合はめんどくさいですよね。
なお、ETIASの組織によると入力には10分もかからないと言われていますが、審査にどれどけかかるかが若干気になります。
今のところ、ETIASの審査には96時間(4日)から2週間も時間がかかるということです。ESTAの場合は3日程度ですから、それよりもちょっと時間がかかるという感じでしょうか。これは忘れずにしっかりと事前に申請することが必要そうです。
まとめ
2022年末から多くのヨーロッパ諸国の入国時に必要なETIASについて、現時点で分かっていることについてまとめてみました。
1人7ユーロという若干の費用負担が発生し、事前にインターネットでの手続きが必要ということは面倒といえば面倒ですが、このご時世、事前審査により少しでも治安悪化の抑止力になり、また現地での入国審査が簡略化されるのであればやむを得ないものだと思います。
そもそも早くヨーロッパにいけるようにコロナが落ち着いてほしいものですね。