2018年10月から、JALの国際線特典航空券のうち、JAL以外を利用する特典航空券の必要マイルが増加することとなりました。ちょっと先の話にはなりますが、JALマイルを貯めて他社の特典航空券を狙っている人にはかなり大きな影響があると思われます。必要マイル数がどれくらい増加するのかや、その背景などを少し見ていきたいと思います。
目次
JALの国際線特典航空券には3種類ある
実は、JALのマイルで発券することが可能な国際線の特典航空券には3種類あります。まず、ここの違いを確認しておきましょう。意外と知られていないので…。
JAL国際線特典航空券
こちらが一番のメイン?の特典航空券、往復JALを利用する特典航空券です。他の航空会社は交えず、本当にJALでの往復のみの特典航空券になります。単純往復ではなくてもOKで、例えば行きは羽田→ロンドン、帰りはパリ→羽田なんて行程も可能です(ただし、この場合ロンドン・パリ間は自力で移動)
これは、今回の改定では影響がありません。
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提携特典航空会社特典航空券
こちらは、JAL以外の、提携会社1社の特典のみのフライトでの特典航空券になります。JALマイルで特典航空券を発券できる、JMB提携の航空会社は以下のとおりとなっています。
- アメリカン航空
- ブリティッシュ・エアウェイズ航空
- キャセイパシフィック航空
- フィンエアー
- イベリア航空
- LATAM航空
- マレーシア航空
- カンタス航空
- カタール航空
- ロイヤルヨルダン航空
- S7航空
- スリランカ航空
【ワンワールド加盟社以外】
- エールフランス航空
- アラスカ航空
- エミレーツ航空
- 大韓航空
- 中国東方航空
- バンコクエアウェイズ
- ジェットスター
JALが所属するワンワールド特典航空券のほか、スカイチームに所属するエールフランス(ファーストクラスは不可)や大韓航空、中国東方航空などのほか、「中東御三家」のうちの一つ、エミレーツ航空の特典航空券を発券することも可能です。私もエミレーツの特典航空券を最近発券しました。とっても楽しみです。
例えば、フィンエアーを使う場合、日本からはヘルシンキまで直行便が就航していますので、ヘルシンキまでの往復ができる(エコノミークラスで50,000マイル)ほか、ヘルシンキ乗継でイタリアに行くことも可能です(エコノミークラスで55,000マイル)。2018年6月現在、イタリアにはJALのフライトがありませんから、お得にフライトをすることが可能ですね。
フィンエアーは、東京(成田)だけでなく、大阪(関西)、名古屋(中部)、福岡からもフライトがあります。ヘルシンキまでは10時間程度で到着し、コンパクトな空港であることから乗り換えも非常に便利になっていますので、直行便で行けない都市であればフィンエアーという選択肢は個人的にお勧めしています。
ワンワールド特典航空券
ワンワールド特典航空券とは、ワンワールド加盟航空会社を2社以上利用することができる特典航空券です。ヨーロッパを周遊したり、あるいは単純往復でも、ロンドンに行くのに行きはJAL、帰りはブリティッシュエアウェイズだったり、ヘルシンキ乗継でフィンエアーを使ったりする場合も、このワンワールド特典航空券になります。
もちろん、1社のみ利用の提携特典航空券よりも必要マイルが多いほか、非常に不便なのが、電話でないと発券できず、Webで発券できないにも関わらず電話発券手数料が必要になる(支払い時にJAL商品券を充当することにより、発券手数料が免除になるなどの方法もありますが…)、ちょっとめんどくさい特典航空券です。ANAの場合、2社以上組み合わせるのもWebでできるのですが…。
アメリカン航空
ブリティッシュ・エアウェイズ航空
キャセイパシフィック航空
フィンエアー
イベリア航空
LATAM航空
マレーシア航空
カンタス航空
カタール航空
ロイヤルヨルダン航空
S7航空
スリランカ航空
ここまで3種類の特典航空券をみてきましたが、今回、この3種類のうち「提携特典航空会社特典航空券」が大幅改悪、「ワンワールド特典航空券」がプチ改悪となっています。
提携特典航空会社の改定内容
提携特典航空会社の特典航空券は、搭乗クラスと、総飛行距離によって決まります。のJALの特典航空券は、このチャートに改定が入ります。
まずはエコノミークラスから見ていきましょう。
総旅程距離 (マイル) |
2018年11月19日まで エコノミー クラス |
2018年11月20日より エコノミー クラス |
---|---|---|
1 -1,000 | 15,000 | 12,000 |
1,001-2,000 | 20,000 | 15,000 |
2,001-4,000 | 21,000 | 23,000 |
4,001-6,000 | 37,000 | 37,000 |
6,001-8,000 | 39,000 | 45,000 |
8,001-10,000 | 40,000 | 47,000 |
10,001-12,000 | 50,000 | 50,000 |
12,001-14,000 | 55,000 | 55,000 |
14,001-20,000 | 60,000 | 70,000 |
20,001-25,000 | 85,000 | 90,000 |
25,001-29,000 | 110,000 | 110,000 |
29,001-34,000 | 130,000 | 130,000 |
34,001-50,000 | 150,000 | 150,000 |
総飛行距離2,000マイル未満の場合は必要マイル数が減少しまいたが、2,001マイルから10,000マイルと、14,000マイルから25,000マイルの場合は必要マイル数が上昇しています。特に東南アジアやヨーロッパ周遊などの場合、必要マイル数が増加しそうな感じですね。
とはいえ、フライト距離8,001~10,000マイルで必要マイルが7,000マイル上昇、14,001~20,000マイルの距離で必要マイルが10,000上昇ですから、そこまで影響は大きくありません。
続いてビジネスクラスをみてみましょう。
総旅程距離 (マイル) |
2018年11月19日まで ビジネスクラス*1 |
2018年11月20日より ビジネスクラス*1 |
---|---|---|
1-1,000 | 32,000 | 24,000 |
1,001-2,000 | 35,000 | 30,000 |
2,001-4,000 | 42,000 | 42,000 |
4,001-6,000 | 60,000 | 60,000 |
6,001-8,000 | 63,000 | 80,000 |
8,001-10,000 | 65,000 | 85,000 |
10,001-12,000 | 80,000 | 100,000 |
12,001-14,000 | 85,000 | 110,000 |
14,001-20,000 | 100,000 | 130,000 |
20,001-25,000 | 125,000 | 145,000 |
25,001-29,000 | 160,000 | 160,000 |
29,001-34,000 | 190,000 | 190,000 |
34,001-50,000 | 210,000 | 210,000 |
傾向はエコノミーと同じなのですが、より必要マイル数の増加が…ぐふっ…。
例えば、ヨーロッパ往復の場合、だいたい12,001~14,000マイルの中にはまりますので、今まで85,000マイルで行くことができたんですね。JAL便利用でヨーロッパに単純往復する場合、曜日限定ディスカウントを使っても90,000マイル、通常は110,000マイルだったので、JALマイルなのにフィンエアーやブリティッシュ、はたまたスカイチーム所属のエールフランスで行った方が必要マイル数が少なかったんですね。それが、これかはら110,000マイルになります。
最後にファーストクラスです。
総旅程距離 (マイル) |
2018年11月19日まで ファーストクラス |
2018年11月20日より ファーストクラス |
---|---|---|
1-1,000 | 55,000 | 36,000 |
1,001-2,000 | 60,000 | 45,000 |
2,001-4,000 | 65,000 | 65,000 |
4,001-6,000 | 90,000 | 90,000 |
6,001-8,000 | 100,000 | 120,000 |
8,001-10,000 | 105,000 | 135,000 |
10,000-12,000 | 115,000 | 145,000 |
12,001-14,000 | 135,000 | 165,000 |
14,001-20,000 | 155,000 | 190,000 |
20,001-25,000 | 200,000 | 220,000 |
25,001-29,000 | 250,000 | 250,000 |
29,001-34,000 | 290,000 | 290,000 |
34,001-50,000 | 330,000 | 330,000 |
傾向はビジネスクラスと同じで、6,001マイルから25,000マイルまでが大幅に増加することにあります。特に飛行距離8,001~20,000マイルでは、必要マイルが今までより30,000以上多くなってしまっています。
特にエミレーツ航空のファーストクラスを狙っていた人にはかなり痛手なのではないでしょうか。東京~ドバイ往復で、従来必要マイルが105,000マイルであったものが135,000マイルになり、ドバイ経由でヨーロッパ各都市の場合、総飛行距離はアテネを除いて14,000マイルを超えることから、必要マイルが155,000マイルだったのが190,000マイルになってしまうことになります。
ワンワールド特典の改定について
JALを含むワンワールド加盟2社以上を使った特典航空券である、ワンワールド特典航空券の必要マイルも、この度改定されます。とはいっても、こちらは改定は微々たるものです。
エコノミークラスは改定なし、ビジネスクラスとファーストクラスも、一部の距離で5,000マイルほど必要マイル数が上昇する程度です。もともと複数の航空会社を利用するといういことで、必要マイルが高めに設定されているのもありますが、大幅な改定(改悪)にはならなかった模様です。
改悪のきっかけはハワイアン航空との提携?
今回の改定は、そもそもJALがビジネスクラス・ファーストクラスの特典航空券の必要マイル数を引き上げた際、提携他社の特典航空券に必要なマイルを引き上げなかったのが原因で起こった差の調整だと認識しています。
以前、JALはマイル価値の平準化のために、国際線ビジネスクラス・ファーストクラスの必要マイル数を引き上げたんですね。これにANAは追随しなかったため、国際線ビジネスクラスの必要マイルは、ANAに比べてJALの方がかなり多くなっています。
目的地 | JAL通常 | ANAレギュラーシーズン |
---|---|---|
韓国 | 36,000 | 30,000 |
アジア1 | 48,000 | 40,000 |
アジア2 | 80,000 | 60,000 |
グアム | 45,000 | 路線なし |
ハワイ | 80,000 | 65,000 |
ロシア | 80,000 | 路線なし |
ヨーロッパ | 110,000 | 90,000 |
北米 | 100,000 | 85,000 |
シドニー | 80,000 | 60,000 |
この改定を行った際、JAL提携特典航空券の改定を行わなかったために、提携他社の特典航空券を発券する方が必要マイル数が少ない状態になっていたんですね。
【目的地別必要マイル数】
目的地 | JAL通常 | 提携他社 (改定前) |
提携他社 (改定後) |
---|---|---|---|
香港 | 48,000 | 42,000 | 42,000 |
ロサンゼルス | 100,000 | 80,000 | 100,000 |
パリ | 110,000 | 85,000 | 110,000 |
例えば、パリまでビジネスクラスで行く場合、JALのビジネスクラスを利用すると110,000マイル(曜日限定特典でも90,000マイル)必要なのですが、現状ではスカイチームのエールフランスを利用すると85,000マイルで行けちゃうんですね。自社便より、他社便に乗った方が必要マイルが少ないって、ちょっと違和感がありますよね。
ちなみに、スカイチームのFFPであるフライングブルーの場合、ビジネスクラスでパリ往復するのに必要なマイル数は200,000マイルなんだとか…
また、この改定がこのタイミングで行われるのは、ハワイアン航空との提携の関係もあると思います。
今後、JALマイルでハワイアン航空の特典航空券を発券できることになります。ハワイは特典航空券大人気のエリアですよね。当ブログでも「マイルでハワイへ」と謳ったこともありますから。
そんな東京~ホノルルの区間マイルは往復で7,662マイルとなりますので、必要マイル数はこうなります。
目的地 | エコノミー | ビジネス |
---|---|---|
JAL | 40,000 | 80,000 |
ハワイアン (改定前) |
39,000 | 63,000 |
ハワイアン (改定後) |
45,000 | 80,000 |
はい、改定しないと、ビジネスクラスでのJALハワイ便で80,000マイル必要なのに対し、ハワイアン航空を利用する場合63,000マイルでOKということになります。また、この距離帯はエコノミークラスの必要マイル数も引き上げてきたのも、ハワイアン航空の特典航空券がJALよりも少なくなるのはマズいという判断があろうと思います。
今まで相対的にお得だった提携他社特典航空券については、その知名度からそこまで利用者が多いわけでもなく、ブログ界隈でもエミレーツ航空のファーストがお得!というのも、結局詳しい人たちの中での話ですから、そこまで影響はなかったのかもしれません。キャセイを使って香港、エールフランスを使ってパリの方がお得なのも、実際、特典航空券は圧倒的にJALより取りやすかったですからね。
ただ、ハワイともなると話は別なんだと思います。相場観よくわからないんですけど、やっぱりハワイは庶民にとっては特別の場所です。
まとめ
2018年から、JAL国際線特典航空券の曜日限定割引が縮小されたことに伴い、相対的にお得になっていた、提携会社特典航空券にメスが入りました。私の単なる主観ですが、ハワイアン航空提携の準備の意味合いもあるのかな、なんて思います。
今までがお得だったので非常に残念です。とりあえず、JALマイルを使って海外の航空会社を利用したフライトの予定が決まっている人は早めに発券しましょう!エミレーツ航空などね!